放射線安全管理の専門家

准教授 秋吉 優史

が一研究者として考えた

コロナウイルスへの工学的対抗策についての考察

Last update 2020/10/14




(2020/10/06)update

既に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して、UV-C が有効である事が実験的に報告されています。 1), 2), 3) については査読が完了していないため、取扱いには注意を要しますが、概ね予想の範囲の結果となっています。 4), 5) については査読が終了し、3) については既に出版されています。

1) UV-C irradiation is highly effective in inactivating and inhibiting SARS-CoV-2 replication,
Andrea Bianco et al., medRxiv, preprint(未査読)
https://doi.org/10.1101/2020.06.05.20123463

2) Rapid and complete inactivation of SARS-CoV-2 by ultraviolet-C irradiation,
Nadia Storm et al., preprint(未査読)
https://www.researchsquare.com/article/rs-65742/v1

3) Confirmation of effectiveness for inactivation of SARS-CoV-2, using our 265nm wavelength UVC LED technology,
Stanley Electric Group- News Release(未査読)
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/69230/7fea2858/b01a/4111/bc24/b78828436334/20200818113158036s.pdf

4) Rapid inactivation of SARS-CoV-2 with Deep-UV LED irradiation,
Hiroko Inagaki et al., Emerging Microbes & Infections, 9 (2020) 1744-1747.(査読済)
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.06.06.138149v1

5) Effectiveness of 222-nm ultraviolet light on disinfecting SARS-CoV-2 surface contamination, Hiroki Kitagawa et al., American Journal of Infection Control, In Press(査読済)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0196655320308099

1) (イタリア)3.7mJ/cm2 で 99.9% まで不活化。254nm 殺菌灯使用。
2) (ボストン大)0.849mW/cm2 の照射で、指数関数的減衰の壊変定数は 1秒程度(→ 3.9mJ 程度で 99.9% まで不活化)。254 nm 殺菌灯使用。
3) (スタンレー電気)5.1mJ/cm2 で 99.9% まで不活化。265nm LED使用。
4) (宮崎大)37.5mJ/cm2 で 99.9% まで不活化。280nm LED使用。
5) (広島大)1mW/cm2 の照射で 0.94桁、3mW/cm2 の照射で 2.51桁の不活化。(→ 3.6 mW/cm2 程度で 99.9%まで不活化)ウシオ電機 Care222 222-nm エキシマランプ。

と言う事で、インフルエンザウイルスの 254nm 殺菌灯 6.6mJ/cm2 で 99.9% まで不活化、よりも 低い値となっており、新型コロナウイルスの紫外線耐性は低いと言えそうです。

すでに査読が完了した 4) の論文は 280 nm LED のため必要な照射量が直接比較出来ませんが、 別途出版されている徳島大学高橋先生らの新しい論文では、280nm LED でA型インフルエンザウイルスを 99.9% 不活化するのに、60mJ/cm2 程度必要で、これと比べても 37.5mJ/cm2 と言う値は小さく、 整合性が取れています。

  • Irradiation by a Combination of Different Peak-Wavelength Ultraviolet-Light Emitting Diodes Enhances the Inactivation of Influenza A Viruses, Mizuki Kojima, Kazuaki Mawatari, Takahiro Emoto, Risa Nishisaka-Nonaka, Thi Kim Ngan Bui, Takaaki Shimohata, Takashi Uebanso, Masatake Akutagawa, Yohsuke Kinouchi, Takahiro Wada, Masayuki Okamoto, Hiroshi Ito, Kenji Tojo, Tomo Daidoji, Takaaki Nakaya and Akira Takahashi, Microorganisms, 8 (2020) 1014-1028.
    日本語での解説 https://www.tokushima-u.ac.jp/fs/1/8/0/7/5/3/_/20200826-2.pdf

    もちろん、今後更なる検証が必要です。
    我々も照射のプロとして定量的な検証を進めているところです。

    ( 1), 3)-5) は2020/09/03 オプトロニクスセミナー, 旭化成 三矢様の講演で紹介頂きました。 2) は岩崎電気松尾様から紹介頂きました。多謝。)


  • (2020/09/29)

    新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して、TiO2/CuxO 系の光触媒が有効である事が 奈良県立大、東工大らの研究グループにより学問的に示されました。

  • http://www.naramed-u.ac.jp/university/kenkyu-sangakukan/oshirase/r2nendo/documents/syousai.pdf

    1000lux 可視光をガラス基板に担持した TiO2/CuxO に照射することで、 1時間で 99.7% ウイルスが不活化したとのことです。 (JIS R-1756 「ファインセラミックス−可視光応答形光触媒材料の抗ウイルス性試験方法−バクテリオファージQβを用いる方法」を参考)

    使用している光触媒が異なり、また暗条件でも不活化の効果が見られるなど ひかりクリーナーで使用しているフィルターとは条件が異なりますが、 可視光応答形光触媒による新型コロナウイルスの不活化の一つのエビデンスとなります。

  • (update 2020/10/06)

    紫外線についてはかなりエビデンスが出てきていますが、低圧水銀ランプ(殺菌灯)に関する論文はまだ査読を通っておらず、確定していません。
    光触媒についても、酸化チタンに関する実証データに加えて 酸化タングステンに関する論文も出ていますが実験条件など不明確でエビデンスが揃っていない状況です。

    COVID-19 における緊急事態下に於いて、誰もが何も分からない状態で悲鳴を上げる中、 少しでも感染リスクを下げる方法は無いかと模索したのがこのサイトです。 あくまでも可能性の追求であり、第三者の検証を経た科学的な「事実・ファクト」とは異なります。

    第二波も収束を見せてきており、かなり落ち着いた状態となってきた現在、 より確かな事実を収集し、学術的に認められた形での公開が求められるようになりました。

    そのため、実証試験、無償提供などの形での「ひかりクリーナーマスクリーン」の製品提供は停止し、 実際の SARS-CoV-2 ウイルスを用いた実証試験実現に集中したいと思います。


     

    Index

  • 基礎知識  

  • 石けんによる手洗い  

  • 紫外線  

  • マスクリーン  

  • 光触媒  

  • 加熱  

  • その他、参考資料  

  • 秋吉 優史 研究紹介
    (別ページへのリンクです)

     


     


     


     


     

    クリックするとPDFファイルにリンクします

    (2020/06/2 更新)

    日本医療研究開発機構 (AMED) ウイルス等感染症対策技術開発事業(実証・改良研究支援) 「既に開発・上市されている機器等(空気清浄機、UV殺菌装置、素材等)によるウイルス等感染症対策への有効性の確認を行う研究支援」において、このサイトで提案している内容をベースとした 「感染症指定医療機関に於けるUV-C殺菌灯及び可視光応答光触媒を用いた感染リスク低減に関する研究開発」が採択されました。
    https://www.amed.go.jp/koubo/02/01/0201C_00094.html

    評価委員会からの指摘事項として、

  • 誰でも思いつくことで独創性が高いとは思えない。
  • これまでに何故本提案のような研究が世界的に実施されなかったのかについても気に掛かる。

    というのが、非常に実態を突いているかと思います。 素人の発想を何故か誰もやっていないということです。


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    基礎知識

    まず、ウイルスにも色々と種類があり、今回のコロナウイルスは、一本鎖+RNAウイルス と呼ばれるタイプで、脂質のエンベロープにつつまれているタイプの物です。
    エンベロープにつつまれたタイプのウイルスは脂溶性の膜をアルコール、石鹸、胃酸などで溶かして変質させることが出来るので、消毒薬抵抗性が低いと言えます。 このため、今回のコロナウイルスにはアルコール消毒などが有効だと言えます。
    それに対してノロウイルスなどはエンベロープを持たず、タンパク質のカプシドという殻につつまれ ている単純な構造で、アルコール、石鹸、酸、塩素、熱などに抵抗性を持ちます。

    コロナウイルスに対しては手指のウイルス不活化であれば、石鹸での手洗いで十分効果を発揮します。 出先では除菌用ウエットティッシュなど、適材適所が肝要かと。 塩素消毒も当然有効です。

  • ひと目で分かるウイルスと病気 - ウイルスを知る
    https://medical-tribune.co.jp/mtpronews/se1412/se_1412_p2-4.pdf
  • ウイルスの種類
    http://www.virusblock.jp/tech/c-004.pdf
  • コロナウイルスはなぜ石けんや洗剤で殺されるのか-高校化学のレベルで解説
    http://konamih.sakura.ne.jp/blog/2020/03/08/

    新型コロナウイルスは感染の際『ACE2』という受容体と接触する必要があり、 体外に接するところでは口腔や鼻腔、目の結膜に存在するため、 明らかな外傷による皮膚の破損がなければ、手などについても直接感染はしません。 手に付いたウイルスを、口などの粘膜に持っていくことを防ぐのが重要な対策な訳です。 花粉症だと目とかもこすってしまったりしますしね。

  • 「ACE2受容体」の働きを知って新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の重症化を防ぐ
    https://note.com/sato_agg/n/nf53d50a9a960

  • コロナウイルスの細胞侵入機構
    田口文広, 松山州徳, ウイルス, 59 (2009) 215-222.
    http://jsv.umin.jp/journal/v59-2pdf/virus59-2_215-222.pdf

    風邪の予防で手指の消毒の他に重要なのがうがいです。
    が、インフルエンザウイルスやコロナウイルスは粘膜に付着してから15〜20分で感染する と言われており、自宅に帰ってからうがいをしても間に合いません。 エンベロープウイルスは胃酸に対して抵抗性が無いため、 小まめに水を飲んで飲み込んでしまった方が効果は高いようです。
    コロナウイルスは正しく知れば「防御」できる
    https://toyokeizai.net/articles/-/327779?page=2

    敵を知れば、自ずと対策も見えてきます。 これらの対策を行っても、絶対に感染しないという事は保証出来ませんが、 一人一人が可能な限り感染のリスクを減らしていくことが重要です。 時間をかせげれば、治療法が開発されるでしょう。 とにかくそれまで持ちこたえましょう。

  • COVID-19 肺炎初期〜中期にシクレソニド吸入を使用し改善した 3 例
    http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200302_02.pdf

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    石けんによる手洗いの有効性

  • 手洗いの注意点は? 石けん、十分泡立てて「除菌」
    https://mainichi.jp/articles/20200303/k00/00m/040/325000c
    の中で、「せっけんを使うのは、泡立てて菌やウイルスを物理的に浮かせて洗い流すためです。」 とありますが、コロナウイルスはエンベロープウイルスであり、 石けんで脂質の膜を変性させることで不活化できる、と言う考えは間違っているかを、 記事中でコメントをしていた東邦大学 看護学部感染制御学研究室 小林寅(吉が二つ)教授に 確認してみました。返答は 「紙面の文字数に限りがあることから作用機序の詳細については記者と相談して割愛しました」 とのことで、逆に石けん手洗いが定量的にどの程度効果的かのエビデンスを聞かれたため、 調べてみました。

  • 消毒剤を含有する市販ハンドソープ及びうがい剤製品の殺菌ウイルス不活化作用
    富田 勉、菊池 賢、感染症誌、92 (2018) 670-677.
    http://journal.kansensho.or.jp/Disp?pdf=0920050670.pdf

    Table 5 には、インフルエンザウイルスとノロウイルスの比較があります。 若干インフルエンザウイルスの方が不活化の効果が高い、と言う程度ですが・・・

  • Norovirus の代替指標として Feline Calicivirus を用いた手洗いによるウイルス除去効果の検討
    森功次 他、感染症誌、80 (2006) 496-500.
    http://journal.kansensho.or.jp/Disp?pdf=0800050496.pdf

    と言う論文は、

  • ウイルス感染予防に効果的な手洗い方法とは
    https://medical.jiji.com/topics/1545

  • 【インフルエンザ対策】1分間の手洗いでウイルスが「10万分の1」に
    https://weathernews.jp/s/topics/201901/210135/

    でエビデンスとして挙げられています。 (上のサイトの引用は論文名が違っていますが・・・)

  • 流水ですすぎ洗いを15秒しただけの場合でも、ウイルスの感染価、遺伝子量ともに、 手洗いをしない場合の約100分の1(約1%)に減少
  • せっけんを使い、もみ洗いを10秒間した後、流水で15秒間すすぐと、 ウイルスはわずか0.01%程度に減少

    なのですが、これはノロウイルス(の代換のウイルス)に対する物で、 エンベロープの変質とは関係無く効果があるようです。
    結局、小林先生仰るように物理的に洗い流す効果が主で、 エンベロープ付きウイルスの場合脂質膜を変性させて不活化させることも期待できる、 と言う程度なのかもしれません。 いずれにしても、石けんによる手洗いは十分効果があると言えます。

    (2020/05/11 追加)
    一般の方からの情報提供です。 界面活性剤として代表的な化合物毎の効果について検証しているという内容です。

  • 国立感染症研究所
    ドアノブ等の室内消毒には、エタノールと並んで台所用合成洗剤も 効果的に使えることが実験的に確認された
    http://idsc.nih.go.jp/disease/sars/sars03w/index.html

  • 北里研究所 / 北里大学
    手洗や洗濯用の洗剤等によるコロナウイルス不活化効果に関する実験的評価結果
    医薬部外品および雑貨の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)不活化効果について

  • 独立行政法人製品評価技術基盤機構
    新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価について、第2回検討委員会を開催しました
    https://www.nite.go.jp/information/osirase20200501.html

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    紫外線

    紫外線は可視光線よりも波長の短い(=エネルギーの高い)光の一種で、 波長の長いものから順に UV-A, UV-B, UV-C とランク分けされています。
    UV-A は 320〜400nm 程度の波長で、比較的透過力が高く皮膚の奥(真皮)まで到達して、 皮膚のたるみなどの原因になると言われています。
    UV-B は、290-320nm 程度の波長で、日焼けや皮膚癌の主な原因(UV-A の600-1000倍の強さ)となります。ただし、太陽光中の紫外線には 5% 程度しか含まれていません。
    UV-C は、200-290nm 程度の波長で、非常に強い殺菌力を持ち人体にも有害ですが、 オゾン層で吸収されて地表には届きません。
    さらに波長が短い紫外線は真空紫外域と呼ばれ、大気中では吸収が激しいため伝わりません。
    もっと波長の短い光は、X線やガンマ線という、電離放射線という事になります。 逆に可視光より波長が長いのが赤外線、さらに様々な電波、と言う形になります。

  • 皮膚科 Q&A
    https://www.dermatol.or.jp/qa/qa2/q03.html

    紫外線による殺菌効果のピークは 260nm 程度で、 310nm 程度になるとほとんど効果が無くなります。 それに対してネイルなどで使われる UVレジンを固めるための UV-LED は 375nm 単波長、 蛍光管タイプでも 315-400nm 程度で、ウイルスの不活化には使えません。 太陽光も地表では 300nm 位でほとんど強度がなくなっています(UV-A の波長域の強度に対して UV-B の波長域の強度は、5%程度です)。

    最も効果の高い 260nm 前後の UV-C が出せる滅菌灯(低圧水銀ランプ)や、UV-C LED が、 アマゾン、モノタロウなどで安価に購入可能ですが、くれぐれも取扱いに注意して下さい。 LED 式のハンディの物が売られていますが、私は怖くて使う気にはなりません。 最低でもサングラスは必須です。(後述するように、この手の商品はほとんど効果が無いことが確認されています)

  • 岩崎電気 紫外線殺菌
    (DNAの吸収特性、殺菌作用の分光特性、各種の微生物を死滅させるために必要な紫外線照射量など非常に参考になります)
    https://www.iwasaki.co.jp/optics/chishiki/uv/02.html

  • ブラックライトの波長・安全性・原理について
    http://trick-poster.com/?mode=f16

  • 太陽光のスペクトル
    http://denkou.cdx.jp/Opt/PVC01/PVCF1_4.html

  • インフルエンザウイルスに対する紫外線影響 徳島大学 高橋教授
    https://www.tokushima-u.ac.jp/docs/2018121200023/
    によると、UV-A でもウイルスに対しては限定的ながら効果があり、 UV-Bは100倍の効果、 UV-C はさらにその5倍というデータが出ています。

    以下、囲みの中はやや難しい研究者向け情報です。一般の方はスキップして下さい。

    突然変異に関する遺伝子的な考察から、対策としてはアルコールなどの他に、 紫外線が有効で有ると考えられます。 紫外線も放射線と同様に、遺伝子に損傷を与え、一本鎖RNAのコロナウイルスは修復が困難であるため抵抗性が低いと予想されました。 実際にインフルエンザウイルスなどに対して紫外線照射は有効で、従来から要るコロナウイルスに対しても有効性が確認されています。 ただし、一本鎖RNAウイルスであるから特に抵抗性が低い、と言う訳では無いようです。

  • 紫外線消毒による病原ウイルスの不活化効果 お茶の水女子大リポジトリ

    紫外線の光子による励起はエネルギーが小さいので、 ガンマ線のように核酸の主鎖の切断を起こしません。 一般の細菌などに対してはチミン二量体(ピリミジンダイマー)の生成が 紫外線による損傷の主たる物です。 RNA はチミンを使用していませんが、チミンだけでなくシトシンやウラシルも二量体を作り、 一般にこれらをピリミジン二量体と呼ぶそうです。

  • ATOMICA 放射線のDNAへの影響
    https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_09-02-02-06.html

    UV-C で不活化に要する線量について、 上述の、岩崎電気のデータと高橋先生の論文とでは10倍以上の乖離があり、 後述するアメリカ国立生物兵器分析対策センターのデータとも、 高橋先生のデータからの計算結果は7倍程度の開きがあります。 これは高橋先生の論文は溶液中のウイルスに照射したというのが大きな原因なのでは無いかと思います。 アメリカのデータは無孔質の物体表面と言うことで、材質までは分からないのですが、 溶液中では無いようです。 UV-Cでも水中での透過率は高く、吸収による影響は小さいですが、 そもそもウイルスの生存率が違います。 また、 スタンレー電気のサイト によると、従来型のコロナウイルスは、インフルエンザウイルスよりも 数倍紫外線に弱いというデータが出ています。

    パナソニックのサイト では、「殺菌作用は波長253.7nm付近が最も強く、 その殺菌力は直射日光にも含まれている波長350nmの紫外放射の約1,600倍にも達します。」 とのことで、UV-C の効果は本来もっと高いようです。 とりあえず下記の検証は、高橋先生のデータを元にしています。 UV-A, UV-B などは他で余りデータが無いため、 情報収集中です。


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    高橋先生のインフルエンザウイルスに対する紫外線影響のデータから、

    太陽光線によるウイルスの不活化にどれぐらい時間がかかるか

    計算してみました。

    まず UV-A について検討します。

    UV-A では 1/100 に減らすのに 50J/cm2が必要です。 こちらのデータによると、周囲に遮蔽物の無い海岸の高さ1.5m位置での、紫外線強度が一番強い場合でおおよそ 2.5mW/cm2 ですので、理想的な場合で2万秒ほど必要です。 住宅地では最大で 8月 1.5mW/cm2、12月 0.7mW/cm2 ですから、 ざっくりと5万秒、一日が86,400秒で、上の紫外線強度は正午の値ですから、 一般的には2日以上必要、と言う事になります。

    資生堂のサイトの情報によると、一日あたり、と言う値で紫外線量が出ています。日照時間内の時間変動を足し合わせてあるわけです。
    このデータでは、7-8月のピーク期には、UV-A は 800kJ/m2/day となっています。 上述の情報では昼のピーク時で 2.5mW/cm2 = 25J/s/m2 ですから、 8.9時間分、やや大きすぎる気はしますが、オーダーでは合っています。 こちらのデータを基にすると、800kJ/m2 = 80J/cm2 ですから、 UV-A では 50/80 = 0.625dayで 1/100 に落とせることになります。 このdayとは、一日分の日照時間全体のことを指しますから、 こちらの紫外線量の時間変動に関するデータを用いると、 夏場の昼間なら半日程度で OK、と言う事になります。 12月は 350kJ/m2/day となり半分弱 になるのは、上記のデータと同じで、 50/35 = 1.43 day 必要です。

    次に、UV-B も考慮に入れます。

    上でも使用した 資生堂のサイトの情報 によると、7-8月では、25kJ/m2/day となっています。 徳島大学のデータを解析すると、UV-B では 1/100 に減らすのに、0.45J/cm2 が必要です。
    25kJ/m2/day = 2.5J/cm2/day ですから、0.45/2.5 = 0.18day 必要です。 残念ながらピーク時の時間あたりの紫外線量のデータが無いため、 上で使用した UV-A のデータと比例するとして、 UV-A の場合で 0.18day は何時間ぐらいに相当するかを計算してみます。
    800kJ/m2/day x 0.18day = 144kJ/m2で、 ピーク時は 2.5mW/cm2 = 90kJ/m2/h ですから、 144/90 = 1.6h 程度で、1/100 まで落とせることになります。

    季節による変動はと言うと、UV-A は冬場でもピーク時の半分弱程度の強度ですが(800kJ/m2/day → 300kJ/m2/day)、UV-B は大気によって吸収されやすいため 25kJ/m2/day → 5kJ/m2/day と1/5 になってしまいます。このため上記の時間も5倍かかることになり、 0.9dayと、ほぼ丸一日必要、と言う事になります。

    上記の結果から、マスクについてもこの程度の時間太陽光に当てることで、 不活化することが出来る、と言うことが出来ます。 (あくまでも、高橋先生のデータを元にした考察です。 今後より多くのデータで検証してみます) もちろん、晴天で、日当たりの良い場所である必要がありますが。 後述の光触媒や加熱法と組み合わせることで、信頼性はより向上するでしょう。

    なお、細菌の滅菌やウイルスの不活化などは、全て対数的に変化します。 ピーク時 1/100 に減らすのに必要な 1.6h の半分の 0.8h では 1/50 に減るかと言うとそうでは無く、1/10 になります。 逆に 3.2h では 1/10000 になるわけです。 半分に減らす時間は、1/10 に減らす時間に -log10(1/2) = 0.3 をかけて、 0.24h = 14.4min となります。このあたりは、放射能の半減期などの考え方にとても良く似ています。

     

    ここで、2020/04/27 の夕方にフジテレビの Live News It! と言う番組でしゃべった内容についてです。
    2020/4/24 のニュースで報道されている、 「物の表面に付着した新型コロナの場合、気温22度、湿度が80%で夏の紫外線を受ける場合はウイルスは2分間で半減する」 https://www.afpbb.com/articles/-/3280112?act=all と言う報道に関する話で、上記の太陽光中の UV-B で計算した 14分という結果と 7倍の開きがあります。
    テレビでは水の中で紫外線が吸収されるためと説明していて、テロップまで出ていましたが、 その後260nmでの水中での吸光度などを確認したところ、間違いでした。 水質浄化や水素発生のために水中の光触媒に紫外線を当てていた訳ですから、 数mm程度の水ではほとんど吸収されないことに気が付くべきでした。 (一時間ぐらい喋った中で、使って頂いたのがピンポイントで 間違っていたところという・・・)
    ただ、水溶液中と、無孔質の物体表面とでは大きく条件が違いますから、 溶液中というのが大きな違いなのは確かです。 どういった材料が使われたのかが知りたいところですが、 残念ながら国立生物兵器分析対策センター(NBACC)の元になるデータ(論文)というのは開示されていません。 こちらも、インフルエンザに対する UV-B のデータは徳島大学の一件だけを元にしていますし、 対数の世界ですから、ちょっとした差でこれぐらい変わってくるかと。 若干 UV-A もプラスされますし、温度や湿度も異なります。 計算に使用する紫外線量の日米での違い、 そもそも、こちらで使ったのは新型コロナウイルスに対するデータではありません。 スタンレー電気のサイト によると、従来型のコロナウイルスは、インフルエンザウイルスよりも 3.6倍紫外線に弱いというデータが出ています。
    想定よりも早く不活化される、と言うのであれば、めでたい話です。

    ただし、室内でガラス越しでは、ほとんど紫外線、特に UV-B が透過しませんので、 紫外線による不活化は期待できません。 また、コロナウイルスはインフルエンザウイルスと同じ一本鎖RNAですが、 修復酵素を持っているそうなので、もう少し紫外線耐性が高い可能性があります。

    そもそも、物体の上でウイルスが感染力を保つ期間は数日程度と言われており、 例え海外の感染国から送られてきた物であっても、 数日かけて輸送されてきた物であれば、問題は無いと考えられます。

  • コロナウイルス、感染力を保つ長さは? 空気中は3時間
    https://www.asahi.com/articles/ASN496K3XN47PLBJ007.html?ref=mixi

     

    UV-C を用いた殺菌灯の場合

    一方で、広く殺菌に用いられている UV-C の殺菌灯ではどれぐらい時間がかかるかも計算してみました。 パナソニックの殺菌灯のサイトによると、 8Wの殺菌灯の紫外線出力は 2.5W だそうです。 私の手元の製品は長さ 30cm の直線状なので、15cm 離れた円筒を考えると 面積は 2826cm2 となります。 若干軸方向にも広がりますが反射などもあるので無視します。
    以上から、15cm の距離では、0.88 mW/cm2 となりました。 あれ、太陽光より弱い・・・と思ったのですが、波長が違います。 約260nm の UV-C ですから、0.1 J/cm2 で 1/10000 まで減らすことが出来ます。時間にすると 114 sec, 2分弱です。
    なお、この値も、高橋先生のデータ(図3のグラフを読み取りました)を元にしています。 同じ論文の中で図5では 0.055J/cm2 で 1/10000 まで不活化、 と言う棒グラフが出ており、半分程度の時間で済むかも知れず、詳細な検証が必要です。

    (2020/04/29) さらに、岩崎電気などのデータによると、6.6 mJ/cm2 で 99.9% = 1/1000 まで不活化、 ですから、8.8mJ/cm2 で上と同じ 1/10000 まで減らせます。 1/10 以下の量ですので、10秒程度で不活化できる計算となります。 他のデータも合わせて下の表で比較してみました。 低減率の 10-3 というのは, 1/1000 に減らす、99.9% 滅菌・不活化させる、と言う意味で、 Wintec のデータでは明示されていませんが、おそらく10-3 だと思います。 高橋先生の論文のデータは上の文章で 10-4 での値 0.1 J/cm2 を出していましたが、比較しやすくするために 10-3 での値 75mJ/cm2 としています。 また、スタンレー電気では、ある条件での照射時間で整理されていますが、 インフルエンザや大腸菌の値を見る限り、大体そのまま mJ/cm2 だとして 読んでしまって良いようです。 このサイトのみ、ヒトコロナウイルスの値が出ており、 インフルエンザウイルスの 3.6倍不活化されやすい、と言う非常に興味深い結果が示されています。

    (2020/07/04) 高橋先生の論文では、UV-C の光源として、日亜化学の 280nm の LED を使用していました。 他のデータは一般的な 254nmの殺菌灯を用いているため、これにより大きな違いが生じていると考えられます。 他にも条件が異なる可能性がありますが、以後岩崎電気などのデータをリファレンスとして、 やや安全側に倒して 10mJ/cm2 で 1/10000 と言うのを 殺菌灯によるコロナウイルス不活化の一つの指標としていきます。

     

    ソース 徳島大学
    高橋先生論文
    岩崎電気 スタンレー
    電気
    Panasonic Wintec
    低減率 10-3 10-3 10-3 10-3 不明
    単位 mJ/cm2 mJ/cm2 sec mJ/cm2 mJ/cm2
    大腸菌 5.4 4.7 10.8 6.6
    緑膿菌 16.5 4.8 16.5 10.5
    レジオネラ菌 7.5 3.3 7.6
    インフルエンザ 75 6.6 6.3 8
    ヒトコロナ 1.7

     

    (2020/10/06)update

    既に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して、UV-C が有効である事が実験的に報告されています。 1), 2), 4) については査読が完了していないため、取扱いには注意を要しますが、概ね予想の範囲の結果となっています。 3), 5) については査読が終了し、3) については既に出版されています。

    1) UV-C irradiation is highly effective in inactivating and inhibiting SARS-CoV-2 replication,
    Andrea Bianco et al., medRxiv, preprint(未査読)
    https://doi.org/10.1101/2020.06.05.20123463

    2) Confirmation of effectiveness for inactivation of SARS-CoV-2, using our 265nm wavelength UVC LED technology,
    Stanley Electric Group- News Release(未査読)
    https://contents.xj-storage.jp/xcontents/69230/7fea2858/b01a/4111/bc24/b78828436334/20200818113158036s.pdf

    3) Rapid inactivation of SARS-CoV-2 with Deep-UV LED irradiation,
    Hiroko Inagaki et al., Emerging Microbes & Infections, 9 (2020) 1744-1747.(査読済)
    https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.06.06.138149v1

    4) Rapid and complete inactivation of SARS-CoV-2 by ultraviolet-C irradiation,
    Nadia Storm et al., preprint(未査読)
    https://www.researchsquare.com/article/rs-65742/v1

    5) Effectiveness of 222-nm ultraviolet light on disinfecting SARS-CoV-2 surface contamination, Hiroki Kitagawa et al., American Journal of Infection Control, In Press(査読済)
    https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0196655320308099

    1) (イタリア)3.7mJ/cm2 で 99.9% まで不活化。254nm 殺菌灯使用。
    2) (スタンレー電気)5.1mJ/cm2 で 99.9% まで不活化。265nm LED使用。
    3) (宮崎大)37.5mJ/cm2 で 99.9% まで不活化。280nm LED使用。
    4) (ボストン大)0.849mW/cm2 の照射で、指数関数的減衰の壊変定数は 1秒程度(3.9mJ で 99.9% まで不活化)。254 nm 殺菌灯使用。
    5) (広島大)1mW/cm2 の照射で 0.94桁、3mW/cm2 の照射で 2.51桁の不活化。ウシオ電機 Care222 222-nm エキシマランプ。

    と言う事で、インフルエンザウイルスの 254nm 殺菌灯 6.6mJ/cm2 で 99.9% まで不活化、よりも 低い値となっており、新型コロナウイルスの紫外線耐性は低いと言えそうです。

    すでに査読が完了した 3) の論文は 280 nm LED のため必要な照射量が直接比較出来ませんが、 別途出版されている徳島大学高橋先生らの新しい論文では、280nm LED でA型インフルエンザウイルスを 99.9% 不活化するのに、60mJ/cm2 程度必要で、これと比べても 37.5mJ/cm2 と言う値は小さく、 整合性が取れています。

  • Irradiation by a Combination of Different Peak-Wavelength Ultraviolet-Light Emitting Diodes Enhances the Inactivation of Influenza A Viruses, Mizuki Kojima, Kazuaki Mawatari, Takahiro Emoto, Risa Nishisaka-Nonaka, Thi Kim Ngan Bui, Takaaki Shimohata, Takashi Uebanso, Masatake Akutagawa, Yohsuke Kinouchi, Takahiro Wada, Masayuki Okamoto, Hiroshi Ito, Kenji Tojo, Tomo Daidoji, Takaaki Nakaya and Akira Takahashi, Microorganisms, 8 (2020) 1014-1028.
    日本語での解説 https://www.tokushima-u.ac.jp/fs/1/8/0/7/5/3/_/20200826-2.pdf

    もちろん、今後更なる検証が必要です。
    我々も照射のプロとして定量的な検証を進めているところです。

    ( 1)-3), 5) は2020/09/03 オプトロニクスセミナー, 旭化成 三矢様の講演で紹介頂きました。 4) は岩崎電気松尾様から紹介頂きました。多謝。)


  •  

    (2020/04/29) 放射線教育分野 でお世話になっている、教材会社のケニス様 からお借りした紫外線強度計 ( SDカード式紫外線強度計 YK-37UVSD )を用いて、 紫外線強度を実測してみました。
    その結果、Panasonic の 8W の滅菌灯 GL8 は、15cmの距離で 1.1mW/cm2 となり、 放射線と同じようにきれいに距離の二乗に反比例して減衰しました。 原点をどこに取るか、で値は変わってきますが、 上で計算した値と良い一致を示している、と言えます。


    パナソニック GL8 及び NEC GL6 滅菌灯から出力されたの紫外線強度の距離依存性

     

  • 紫外線殺菌の効果に関する研究(引用文献にウイルスへの研究あり)
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjps1957/39/5/39_5_939/_article/-char/ja/

  • アズワン 殺菌灯の殺菌効果
    https://www.as-1.co.jp/academy/11/11-2.html

  • WINTEC 紫外線殺菌装置の紹介で、不活化に要する紫外線照射量がまとめられています。
    http://www.info-niigata.or.jp/~wintec/uv_.sterilization.htm

    【注意】

    UV-C を直接人体に当てないで下さい!

    目に入ると非常に危険です。散乱線でもかなりの痛みを伴います。 皮膚にあてても紅斑が出来たりしますし最悪皮膚癌になります。 また、プラスチックなどは長時間の照射でボロボロになりますし、 衣類、家具などの色素や繊維も劣化します。 185nm の波長も出せる合成石英管を使用した UV-C 殺菌灯ではオゾンも発生するので、 使用後はしばらく換気を行う必要があります。 (溶融石英を使用した一般的な殺菌灯は220nm以下はカットされ、オゾンは発生しません。 オゾンが出るランプでも、ラップを二巻きほどすると185nmの成分はカットされ、オゾンは発生しなくなります) ほとんど、放射線の取扱いと同じだと思って下さい。 マスクの殺菌や広い面積の浄化の際など使用法は限定的かと思います。

     

    (2020/05/19)

    ウシオ電機の 222nm 紫外線 Care222 について

    5/18 に放送された、TBS の「あさちゃん!」および「Nスタ(関西では放映されていないので内容未確認)」でコメントを取り上げて頂いた 222nm の「遠紫外線C波」ですが、以下の様に日本のウシオ電機の製品、技術です。神戸大学でも共同研究を行っています。コロンビア大とは独占ライセンス契約や、研究委託契約を行っているようですが、あくまでも「日本発の技術」です。

  • Care 222 とは?
    https://clean.ushio.com/ja/care222/
  • ウイルスを不活化する「222nm紫外線殺菌・ウイルス不活化ユニット」の開発について
    https://kyodonewsprwire.jp/release/202003037628
  • 皮膚がんなどの発症なし 222nm紫外線(UV-C)繰り返し照射の安全性を世界で初めて実証(神戸大学)
    https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/collaborations/2020_03_30_01.html
  • 紫外線ランプ、新型コロナとの闘いに光明か 米大が実験
    https://www.afpbb.com/articles/-/3283035

    人体に安全でかつウイルスを不活化出来る、というのは以下の様な仕組みによる物です。 (直接ウシオ電機の担当者に確認致しました)
    紫外線は、波長が短く、エネルギーが高くなると物体に吸収されやすくなり、 222nm の波長では皮膚ごく表面の 20μm 程度の厚さの角質層などで止まってしまいます。 そのため生きている細胞にまで到達せず、炎症や皮膚癌などを引き起こさない、 その一方で物体の表面に付着した直径 0.1μm 程度のウイルスの中までは届くため、 遺伝子に損傷を与えて不活化できます。

  • 岩崎電気 紫外線殺菌
    220nm付近でDNAへの吸収が大きくなっており、260nm の殺菌灯の 7割程度の効率になっています。殺菌作用は小さくなっていますが、ウイルスよりも大きい菌(直径1μm程度)の細胞質の中のDNAまで到達する量が少なくなる、と言う事かと思います。
    https://www.iwasaki.co.jp/optics/chishiki/uv/02.html

  • 参照紫外可視吸収スペクトル (様々な物質の吸光度波長依存性が網羅されています) https://www.pmda.go.jp/files/000203148.pdf

    なお、 Care222 の紹介サイトでは、「当ユニットは現在(2020年6月時点)開発中のため、販売は行っておりません。」とのことで、「日本国内向けには、当初の販売開始時期(2021年初頭を予定)を前倒しし、2020年9月からの販売開始を予定しております。 なお、販売については代理店を通して行うことを予定しており、取り扱い代理店については2020年7月頃に弊社Webサイト上でお知らせいたします(個人のお客様への販売については未定となっております)。」ということで、普及についてはまだもう少しだけ先という事になるようです。

     

    テレビなどで使われている「遠紫外線C波」という用語ですが、 遠紫外線と UV-C がごっちゃになったような言葉で、余り一般的な用語では無いと思います。 遠紫外線については、ウシオ電機のサイトによると、空気による吸収が始まる波長域から軟X線波長域までの紫外線のことで、波長範囲についてはさまざまな用例があるが、10nmから200〜220nmの間までの波長域とすることが多い、とのことです。 今回の 222nm の紫外線を指す場合は単純に遠紫外線で良いかと思います。

  • 遠紫外放射
    https://www.ushio.co.jp/jp/technology/glossary/glossary_a/far_ultraviolet_radiation.html

    しかし、上記のサイトでも、
    「波長250、300、350nm以下の紫外放射を深紫外放射またはディープUV(Deep-UV、DUV)と呼ぶこともある。この言葉は、もともとIBMのDr.Linが使った言葉で、彼の概念では200〜300nmの波長域であった。」
    とのことで、「紫外線」と言った場合は注意が必要なようです。

    某社の空気清浄機が某社のテレビ番組で
    https://az-news.yojipapa.com/shinshigaisen-32598
    と言うような取り上げられ方をされて居ますが、調べてみると 使用している「深紫外LED」は、単なる UV-C 波長域の物でした。
    https://www.nikkiso.co.jp/products/duv-led/features.html
    もちろん空気清浄機としては中から外に UV-Cは漏れてこないと思いますし、 ミヤネ屋でも紹介したサンスターの QAIS-air-01 同様、UV-C + 光触媒ですから、製品としては素晴らしいと思います。

    一般的な 260nm 前後の殺菌灯波長の UV-C と、 222nm の「狭義の遠紫外線」を混同すると大変危険です。 業界関係者で用語など統一して欲しいと思いますが・・・
    上記の番組は、
    「深紫外線・遠紫外線とも言われますが、波長の短い部分を使うので人に対しても害が少なく、LEDでも出せるそうで、これから色んな場面で使われる可能性があります。」
    とコメントしているそうで、いろんな意味で間違っています。 少なくとも 222nm の波長は LED では出せません。


  • ちなみにもっと波長が短くなり、200nm 以下になると、 酸素分子、窒素分子に吸収されてしまい、大気中では使えなくなります。 電子回路のパターンの焼き付けなどには、真空中でこの波長の短い紫外線を使用しており、 「真空紫外光」などと呼ばれています。

  • 真空紫外(VUV)域とは
    http://www.oceanphotonics.com/application/tec_vuv.html

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  •  




     

    マスクのウイルス不活化 BOX マスクリーン

    ただ単に UV-C 殺菌灯を仕込んだ箱です。

    殺菌灯によるマスクの不活化について検討するための、研究開発品です。 現在は提供を行っておりません。

    2020/05/18 の NHK 「ニュースシブ5時」、
    2020/05/29 の MBS 毎日放送 ミント!、
    2020/06/02 読売テレビ放送「情報ライブ ミヤネ屋」、
    2020/06/03 関西テレビ「報道ランナー」
    で取り上げて頂きました

         

     

    国産の 8W の滅菌灯 GL8 と、 中国製の器具(JP-T5-UV) を利用した現在量産しているマスクリーン4 (正面位置 5cm の距離では 1.5mW/cm2 を保証)については、 下で示す実測値から、各ブースでの中央での線量 0.5mW/cm2 を計算に使用し、 安全側に考えて 10mJ/cm2 で 1/10,000 まで不活化が可能とすると、 20秒の照射で 1/10,000 まで不活化が可能であると計算されます。

    医療現場用の GL8 を使用したマスクリーン4 は、わずか20秒で4枚の処理が可能ですから、 感染の可能性がある度に頻繁に処理することで、感染率を下げられるのではないかと期待します。 世間ではかなりサージカルマスクの供給は余裕が出てきているようですが、これならば、医療現場においてマスクの使用数を抑える以上の効果が期待できます。

    6W の殺菌灯 GL6 (器具はJP-T5-UV) を使用したマスクリーンS は、一度に一枚の処理ですが、 ランプとマスクの距離が近く、わずか5秒で1/10000まで不活化が可能な計算となっています。 こちらは個人向けですが、医療機関でも個人個人が頻繁に不活化したい場合などにニーズがあるのではないかと思います。

    マスクに対する紫外線の透過率を求めてみました。 その結果、サージカルマスクを平面状にたたんだ形でも 7.3%、 プリーツを開いて重なりを無くすと 12.7% が裏面まで透過する、 と言う結果が得られました。
    基本的にウイルスが付着しているとしたらマスクの外側であり、 内側に行くほど数は少なくなりますから、外側からだけ照射すれば十分で有ると思います。 もちろん、10秒程度で不活化できる、と言う結論が出ましたので、 両面照射しても大して時間はかかりませんが。 裏返す際はピンセットなどを使用して、ピンセットも BOX 内に入れて照射すると良いでしょう。

    他にも様々な物の透過率を求めてみました。 かなりアバウトな実験ですが、同じ透明に見えるプラスチックでも、 マスクリーン4で容器として使用しているコンテナの材料、 ポリプロピレンは比較的透過率が高く、遮蔽をしないと危険な UV-C が漏洩してしまう、 と言う事が分かりました。 このため、青白い光が直接見えている場合、アルミテープなどで補修が必要です。 アルミシートを通してうっすら光が見えるのは問題有りません。 表面で実測しましたが、検出限界以下でした。

    遮蔽前 I0 遮蔽後 I 透過率
    遮蔽物 mW/cm2 mW/cm2 %
    メガネ(プラレンズ) 1.10 0.000 0.0
    ペットボトル横置き(空) 1.10 0.000 0.0
    ポリスチレン(1.4mm厚コレクションケース) 1.10 0.000 0.0
    ポリプロピレン(1.5mm厚コンテナケース) 1.11 0.288 25.9
    コンテナ遮蔽用アルミシート 1.12 0.003 0.3
    サージカルマスク (平面) 1.10 0.080 7.3
    サージカルマスク (プリーツ開いて) 1.10 0.140 12.7
    塩ビラップ 6μm厚 1枚 1.11 0.952 85.8
    塩ビラップ 6μm厚 2枚 1.11 0.900 81.1
    塩ビラップ 6μm厚 4枚 1.11 0.660 59.5
    ニトリル手袋(モノタロウ、青)生地1枚 1.70 0.000 0.0
    クアラテック手袋(アズワン)生地1枚 1.70 0.000 0.0
    コピー用紙(再生紙) 0.70 0.000 0.0
    コピー用紙(高白色) 0.70 0.000 0.0

     

    (2020/05/11 追記) 距離の逆二乗に比例して強度が下がり、 遮蔽によっても弱まる、後は時間が短ければ照射量は少ない・・・
    そう、紫外線の照射の話は、放射線防護の話と非常に良く似ています。 放射線は透過力が強いため、単位重量あたりの吸収エネルギー (J/kg = Gy) を、 紫外線は透過力が非常に弱いため、単位面積あたりのエネルギー (W/cm2) を使って表わすという違いはありますが、 本質的な取扱いは同じです。

     

     

    そこで、放射線計測で用いられるラジオクロミック線量計 (薄い小さなフィルムの着色で線量を評価する)を用いて、 マスク表面での紫外線線量計測を行ってみました。 予備実験での距離依存性の評価から、線量計として評価される照射量 I (kGy) と、 紫外線の照射量 D (mJ/cm2) には相関があり、D = 1.4 I と言う簡単な式で表せます。 理論的にも、吸収線量とは、単位質量あたりの吸収エネルギーであるという基本に立ち帰り、 表面からの深さ14μmまで範囲で均等に全エネルギーが吸収されるとすると上記の式が説明できます。 (フィルムの厚さ45μm以下で全紫外線が吸収されていることが確認されています)

     

       

       

     

    放射線の吸収線量として評価された値を、照射時間と換算式から、 紫外線強度として分布を示してみます。単位は mW/cm2 です。
    なお、マスクリーン4の測定に使用した測定用標準殺菌灯は、 製品に現在使用している物よりも弱く、 検査ではねられた物を使用しています。 5cm での距離での紫外線強度は 0.75 mW/cm2 程度で、 現在提供している 1.5 mW/cm2 @ 5cm 保証(全数検査しています)の製品の、 半分の強度です。 (上で示した国産の器具と Panasonic の GL8 の組み合わせとは4倍以上の強度差があります) この値を倍にして、10 mJ/cm2 達成に必要な時間を見積れば良い訳です( W = J/s です )。
    マスクリーンS については、製品に使用している物をそのまま使用しています。

    概ね、上での測定と良い一致を示しており、 枕を設置して傾けることで全体的なムラを少なくすることが出来る事が分かります。 また、照射面の裏面にも半分から1/4程度の量が透過/反射して、 あたっているいることが分かります。 100% 絶対という事は出来ませんが、概ね全体的に不活化できていると言えます。 もちろん、より高い安全性を求める場合は、 指定の時間よりも適宜照射時間を延ばして照射量を上げて下さい。

     

     
    マスクリーン4底面(左)と、マスクを設置した表面(右)での紫外線強度評価結果

     


    マスクリーン4に枕を設置して、その上に置いたマスク表面での紫外線強度評価結果

     

       
    マスクリーン4に設置したマスク内側(左)、マスクリーンSに設置したマスク外側(中)、内側(右)の紫外線強度評価結果

     

     

  • 紫外線によるマスクの劣化について
  • 紫外線によるマスクの劣化ですが、日経メディカルの記事 によると、 サージカルマスクの場合は、20分間と言うかなり極端な時間の UV-C 滅菌灯の照射により、 0.3μm以上の粒子の透過率が 3.7% → 6.3% に、 そして空中浮遊ウイルスの透過率が 4% → 6% に悪化したと言う事です。 余り繰り返すとマスクの性能は劣化するようです。 どの程度の照射で性能が劣化していくのかは、今後研究対象としたいと思います。
    サージカルマスクはそもそも感染を広げないための物で、 余り問題とはなりませんが、アルコール洗浄すると 0.3μm以上の粒子の透過率が 3.7% → 9.9% に、 そして空中浮遊ウイルスの透過率が 4% → 12% に悪化したと言う事で、 紫外線の場合よりもはるかにダメージが大きいです。

    また、医療用の N95 マスクですが、これは UV-C 照射により 0.3μm以上の粒子の透過率が 0.2% → 1.1% に、 そして空中浮遊ウイルスの透過率が 1% → 8% に悪化したと言う事で、 ウイルスの透過率がサージカルマスクより落ちています。 不活化に必要な短時間の照射でどの程度劣化するかが気になりますが、 データが無いうちはやめておいた方が無難かと思います。
    なお、N95 マスクをアルコール洗浄すると、極端に劣化して使い物にならなくなります。 0.3μm以上の粒子の透過率が 0.2% → 14.1% に、 そして空中浮遊ウイルスの透過率が 1% → 35% と、スカスカになります。

     

  • 大阪府立大学 電子物理 高橋 和 研究室
    http://www2.pe.osakafu-u.ac.jp/pe9/

    SEM によるサージカルマスクの詳細な微構造観察結果と、 フィルター性能のアルコール洗浄や水洗い後の評価を、 本学工学研究科電子物理工学分野の、高橋 和先生が分かりやすくまとめています。 濡らしてしまうと極端に性能が劣化するようです。 洗濯したり、煮沸するのは、避けた方が良いようです。 まあ、サージカルマスクに何を求めるか、と言う話にはなりますが。

     

  • N95/DS2マスク枯渇対策としての滅菌再利用前後の粒子捕集効率の変化
    https://youtu.be/1curbb_aNds

    慶応大学理工学部応用化学科 奥田知明教授が、 蒸気滅菌(80℃30分)とオゾン滅菌による N95/DS2 マスクの処理前後の、 粒子捕集効率をパーティクルカウンターで評価しています。 これらの処理ではほとんど粒子捕集効率が変化しないことが明らかになっています。 (再利用を推奨する物では無く、それを理解している医療従事者向け情報です)

     

  • 沖縄科学技術大学院大学 UVC殺菌ユニット
    https://www.oist.jp/ja/covid-19/community-projects/uvc-sterilization-units

    「N95マスクを効果的に殺菌するために必要なUVC線量を直接測定により確立したところ、N95マスクでは、他の材料表面で以前に報告されたよりも100〜1000倍高いことを発見しました。 チームはまた、殺菌後のN95マスクのフィルタリング効率を確認するためのテストも開発しました。喉の後ろにセンサーを備えたCPRダミーを使用し、ダミーが呼吸をシミュレートする時に通過するサブ300 nm粒子数をセンサーがカウントしました。このテストでは、ダミーにN95マスクがある場合とない場合の両方で行い、マスクのフィルタリング効率を決定しました。理想的にはN95マスクは、300 nm未満の粒子の95%をフィルタリングできねばなりません。チームは、適切な線量による複数回のUVC殺菌を行っても、マスクのフィルタリング能力は変わらないことを確認しました。」とのことです。「殺菌するために必要なUVC線量」の測定法、絶対量については記述がありません。

     

  • 【開発中】新型コロナウイルス対する有効性も確認されました! 深紫外線LED搭載 N95マスク3枚同時殺菌可能(99.9%殺菌) https://premium.ipros.jp/nikkisogiken/product/detail/2000510208/

    「PearlSurface 24G9は、700mJのパワーで対象物の殺菌を行い、現在問題となっているN95マスク不足の中、N95マスクを3枚同時に紫外線殺菌し、マスクの再利用が可能です。」 「15分でN95マスク3枚同時殺菌可能」とのことですが、やはりマスクに照射する紫外線量については記述がありません。

     

    【注意】 N95 マスクは製品によって全く形状、構造が異なります

    ウイルスを捕集する高性能フィルターは表面には出ておらず、撥水加工された表面のフィルターの中に入っています。そのため、内部まで透過して不活化するのに必要な紫外線量は製品によって異なります。フィルター繊維の紫外線に対する耐性も調査が不十分です。

    安易に N95 マスクを紫外線で再利用するのは控えて下さい。

    均一に加熱する、マスクのホイル焼きが、不活化には最も適していると思われます。 蒸気滅菌(80℃30分)では捕集効率は下がらないことが確認されています。 今後、高橋先生と協力してオーブンで 100℃ 15分加熱後の捕集効率測定なども実施してみようと思います。

     

    (2020/06/23 追加)

  • Application Note ・ UVP Crosslinker
    https://www.bmbio.com/Portals/0/product/upload/849-95-0615_application.pdf

    「FDA報告書によると、N95マスク表面のUVGI処理に必要十分線量は 1J/cm2となっています」* として、UV-C による N95 マスク処理装置が販売されているようです。 表面での不活化に必要な量の 100倍ですから、透過率によっては妥当な数字と言えるかも知れません。

    * Heimbuch, B. & Harnish, D. Research to mitigate a shortage of respiratory protection devices during public health emergencies. (2019).
    https://www.ara.com/sites/default/files/MitigateShortageofRespiratoryProtectionDevices_3.pdf

    上記の FDA 報告、の原典です。275ページもある膨大なデータの報告書になっています。 さすがにまだ全然読めていません。誰か読んで内容を取りまとめて教えて下さい・・・・

     

  • COVID N95 DECON (英語のサイトです)
  • https://www.n95decon.org/publications
  • UV-C を用いての再利用
  • 加熱による再利用

     

  • 煮洗い、アルコール消毒、紫外線照射…ウイルス対策マスクの再利用は可能か?
    http://j.people.com.cn/n3/2020/0203/c95952-9653703.html

    マスクの再利用について、問題点を提唱している情報もあります。 ソースが中国ですので、何らかの意図が入っている可能性もありますが、 (紫外線照射についてもこちらの記事はどの程度の時間照射したかの情報もありません) 完璧に復活させられる訳では無い、と言う点は覚えておいても良いでしょう。 N95 はそう簡単に再処理できない、と言う点は一致しています。 いかに限られた資材でリスクを下げるか、を考える必要があります。

     

    一方で過酸化水素蒸気を用いた再利用システムがアメリカでは開発されているようです。

  • 医療用マスク不足の解消に前進。N95マスクの再利用を可能にする除染システムが開発される(アメリカ)
    https://news.biglobe.ne.jp/trend/0424/kpa_200424_0516825781.html

    これを受けて、厚労省から「N95 マスクの例外的取扱いについて」との事務連絡が出ています。
    https://www.mhlw.go.jp/content/000621007.pdf
    これによると、過酸化水素水プラズマ滅菌器を用いた再利用法、過酸化水素水滅菌器を用いた再利用法、1人に5枚のN95 マスクを配布し、5 日間のサイクルで毎日取り替える再利用法が挙げられています。

     

    アマゾンなどで紫外線消毒の製品(滅菌器)が大量に売られていますが、 照射強度が一切書かれていません。

    中国製の蛍光管を用いた殺菌灯は、製品毎に出力が10倍ぐらい違い、 最も強い物でも国産の半分程度の強度であるため、 国産のランプに交換してマスクリーンを製造しています。

    某大手イベント関係の会社から持ち込まれた LED を使用した製品を測定してみましたが、 BOX の中央部で 0.02mW/cm2 程度しか出ておらず、 マスクリーンS の 1/100 にすぎませんでした。

    さらに悪質な製品では、BOX 底面中央部では UV-C どころか UV-A も検出限界以下でした。 直近で測定すると UV-C 3mW/cm2, UV-A 1.5mW/cm2 程度出ていますが、 15cm 程度深さの BOX に物を入れた場合、ギリギリ0.0009 mW/cm2 で表示されなかったとしても 謳い文句の通り99.9% 不活化するとしたら、7.5mJ/cm2 必要ですから、 8300秒ほどかかり、非現実的です。全く使い物になりません。 なお、測定を行ったプローブは厚さが 2cm程あるため、一般的な厚さの物品を模擬しています。 (掲載当初、一切放出されていないと書きましたが、ベタ付けでは検出されました。訂正します) 物としては大変良く出来ており、ふたが開くと電源が切れるなどの安全対策もされていますが、 肝心の紫外線が出ていないのでは、安全だと思って使った物で感染するという、 極めて危険な商品です。

    アマゾンには同様の製品が多数出品されており、 どのように対策を行うのか問い合わせたところ、 「感染して死亡した場合、お手数ですが、当サイトにご連絡をお願い致します。 当サイトはお客様の問題が解決するまでにサポート致しますので、ご安心下さい」 との返事が来ました。 本人が死亡していた場合どう連絡するのでしょうか。

    私はこの問題を極めて重く見ており、紫外線に関連した会社とも連携して消費者庁などに上げていくつもりです。 このサイトをご覧の皆様で同様の製品を購入された方、郵送頂ければ測定致しますので、 製品提供をお願い致します。返送料はこちらで負担致します。

    (2020/07/15)追記
    Amazon で4点ほど購入して測定を行ってみました。 その結果、5cm の距離では もっとも強い製品 で 0.04mW/cm2 程度で、 次いで 0.03mW/cm2 程度 0.02mW/cm2 程度となり、 製品によっては検出限界以下となりました。 5cm の距離で照射できるのはせいぜい直径5cm程度の範囲で、 1/10000まで不活化する場合、0.04mW/cm2 の製品でもじっと250秒保持する必要があります。 99.9%(=1/1000) としても 3分以上です。とても現実的とは言えません。

    さらに、使用した UV メーターは UV-C 用のプローブでも UV-A にも若干反応してしまうため、 直近でも 0.02mW/cm2 しか出なかった製品2点については、 UV-A LED では無いかと疑っていますが、 UV-A のプローブで測定した結果は UV-C プローブでの結果とほぼ同等で、 元々 UV-A のライトを使用するとUV-A の方がずっと強く出ますので、 一応 UV-C の可能性もあります。 UV 用の分光器が現在手元に無いため、測定出来次第報告致します。 いずれにしても、一般に出回っている LED で出せるのは 280nm 程度ですから、 ピークの 260nm よりもかなり落ちることは確かです。

    詳細なレポートはこちら


     

    手先のウイルス不活化 BOX, Raise Your Hands IN Me

     

    2020/05/29 MBS 毎日放送 ミント! 放送で取り上げて頂きました。

    ただ単に UV-C 殺菌灯を 2本仕込んだ箱です。

  • 本製品は一般向けでは無く、感染症患者受入れ病院や、BSL3 実験室など、 感染の恐れの高いプロ向けの製品です。手袋をしていることが前提です。

  • マグネットでスチール製ロッカーなどに貼付け、 下から手袋をした状態の手を入れて両面を同時に不活化します。
  • ランプから手指の距離は 3cm以下であり、現在使用している器具・ランプの組み合わせ (5 cm で1.5 mW/cm2 以上を保証)では、 6秒以下で 1/10,000まで不活化が可能です。
  • 手を最大限上げていくと手首部分の不活化も可能です (タイベックスーツなどを着用していて皮膚の露出が無いこと前提です)。 マグネット貼付けのため、体格に合わせて高さを調整可能です。
  • フットスイッチにより手を触れずにON/OFF を行う事が可能で、感染を拡大しません。 手先が触れる可能性のある部分は紫外線照射を受けるため、 使用時は常に不活化されています。
  • ニトリル、ラテックスといった素材の手袋は、 一枚だけで至近距離からの UV-C 照射を十分遮蔽し、 手先の皮膚にダメージを与えることはありません。
  • 現在、特注の一品物となっています。 需要に応じて量産を行います。


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    光触媒

    光触媒は、可視光線、紫外線が当たると、表面にラジカルを形成して有機物を分解するため、 建物の外壁や自動車などで汚れが付きにくい塗料としてや、 消臭作用を示すスプレーなどとして販売されています。 特に TiO2 は光触媒として長い歴史があり、 内装用の壁紙に光触媒を組み込んだ物も販売されています。

    試しに、雑菌が湧いて、洗っても繊維の奥にしみこんだ雑菌臭が取れない、 もはや捨てるしか無いレベルのタオルに、 下で挙げているタングステン系の光触媒をスプレーして室内光に一日曝してみました。 その結果、1m先からでも分かるような臭いだったタオルが、 顔を埋めて臭いをかいでもほとんど分からないレベルになっていました。 物凄い分解力です。 なお、洗うと光触媒のほとんどが取れてしまうと思いますので、 タオルなどでは持続的な効果は望めませんが、 逆に洗わなければ表面に残っている限り半永久的に効果を発揮します。 クロス張りのソファーやカーテン、枕などがお勧めです。 某中年男性の枕に使用したところ、加齢臭が無くなったとの報告があります。
    余り強い光が当たるところでは、発生したラジカルが担体を痛めることがあるかも知れませんが、 室内ではその心配はまず無いでしょう。 (一昔の白色塗料では、屋外で長期間使用するとバインダーがやられて白い粉が浮くときがありました)

     


    光触媒の機能発現の概念図

     

    光触媒の原理については以下を参照。

  • TiO2 光触媒の基礎と最新開発動向
    元のリンクの
    http://polar.imr.tohoku.ac.jp/_userdata/photocat2010.pdf
    が切れているため暫定的にこちらを。

    TiO2 は化粧品や日焼け止めにも使われていたりして、非常に安全な物質です。

    私が東工大で博士課程の1年目は良いテーマが与えられず、 依頼されたネタで書いた化粧品微粉末に関する論文で、 二酸化チタンの透過型電子顕微鏡観察をしていました。 ルチル型(バンドギャップが3.0eVで可視光でも応答するが全体的な光活性が低い) とアナターゼ型( バンドギャップ 3.2eV で、387.5nm 以下の紫外線でないと活性を示さないが高い活性を示す) の違いにも言及しており、23年ぶりに自分で読んでビックリしました。

  • http://bigbird.riast.osakafu-u.ac.jp/~akiyoshi/Works/All_Works/1997-11_色材(2).pdf

    なお、化粧品などにはルチル型が使われていますが、 表面にはシリカがコーティングされており、光活性により肌にダメージを与えないようにしているようです。 (反射、吸収で紫外線を防いでいます)

  • 化粧品開発に用いられる紫外線防護素材
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/sccj/48/1/48_2/_pdf

    UV-C 紫外線ランプでの直接の不活化は、UV-C は人体に有害で取扱いが困難ですが、 UV-A or B + 酸化チタン光触媒を使った空気清浄機であれば、 遮光がキチンとされていれば外に紫外線は出てきませんので安心です。 メッシュ状の光触媒担体に紫外線照射して、風を送り触媒表面で有機物を分解します。 これなら什器や書類などが放射線劣化のようなダメージを受けませんしオゾンも出ません。 汚染が疑われるエリアの表面の除菌や、マスクなどを殺菌するのには使えませんが、 居室などの生活環境を防衛するには良いでしょう。 ポイントは、機能をウイルス除去に割り切って下手にフィルターの付いていない物を選ぶことです。 ウイルス相手にフィルターはほとんど意味がありません。 その分安価になりますし風量を増やして光触媒にさらす、というのが効果的です。

    小型のUSB 給電で、新幹線内など出先でも使うことが出来る商品もあります。 私はスリム缶サイズの非常に小さい製品を使っていたことがありますが、それでも部屋の臭いがなくなり、 朝起きたときに花粉症の症状が出なくなりました。 (部屋から出ると症状が出ます) これだけでも元が取れたと思っています。

    スプレー式の光触媒を衣類、マスクや室内の表面に塗布するのも有効だと思われます。 これで完全にウイルスを防げるというわけではありませんが、 少しでも対策を取って確率を下げていく努力が必要かと思います。

  • 「100回洗っても効果」あるマスク販売 光触媒を活用
    https://www.asahi.com/articles/ASN4P3195N4NUOHB01H.html

  • 一般的な TiO2 光触媒の例。太陽光、紫外線などで機能する。
    http://www.amazon.co.jp/dp/B002A5KKZS

  • 部屋の照明でも機能するタングステン系の触媒を使用する、東芝 ルネキャット
  • https://www.toshiba-tmat.co.jp/res/renecat/
    二酸化チタンと異なり、三酸化タングステンベースの光触媒を使用するルネキャットは、バンドギャップが 2.5eV であり、495nm 以下の可視光(緑→青の領域)から活性を示します。太陽光はともかく、蛍光灯では紫外線量は微弱ですし、LED 照明ではほぼ全く紫外線が含まれていません。屋内での光活性を求めるのであれば、これらの製品が効果的です。 (二酸化チタンも銅などを添加することで可視光領域でも若干活性を示しますが、効率は低いです)
    なお、ルネキャットは、「吸着能力のある金属酸化物と触媒として利用出来る金属を WO3光触媒に添加することにより、ニオイ成分や細菌を光触媒に適正な吸着力で引きつけて、分解を促進させ、分解速度をさらに上げることができた」とのことで、単なる三酸化タングステンとは一線を画した製品のようです。

  • 快適な屋内空間を実現するW3可視光応答型光触媒, 日本画像学会誌_55(2016)449-454.
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/isj/55/4/55_449/_pdf

  • ウイルスを酸化分解する新技術「ウイルスシールド」を開発 〜東芝マテリアルが技術協力〜
    https://www.komatsumatere.co.jp/wp-content/themes/komatsu/pdf/news/20200228.pdf


    ルネキャットを塗布したフィルム(2.5cm角に5mg)を用いた密着法で、蛍光灯の光(紫外線はカットした、可視光のみ)を当てると、A型インフルエンザウイルスは、4時間で 1000分の1、8時間で 100万分の1以下に減っています。
    https://www.toshiba-tmat.co.jp/res/renecat/about/data/virus_j.htm

  • 金属ナノ微粒子修飾酸化タングステンを用いた安価な光触媒の開発
    http://www.jfe-21st-cf.or.jp/furtherance/pdf_hokoku/2011/20.pdf

  • 室内でも使える可視光応答型光触媒を開発 衛生的で快適な生活空間を提供
    NEDOプロジェクト実用化ドキュメント
    https://www.nedo.go.jp/hyoukabu/articles/201318sdk/index.html
    銅添加すると、三酸化タングステンは可視光線下で高い活性を示すのに加えて、 暗いところでもある程度の不活化・殺菌力を示します。 光触媒と合わせることで二価の酸化銅が一価の銅に還元されることが重要らしいです。

    参考資料

  • 神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC) 光触媒について
    https://www.kistec.jp/r_and_d/project_res/photocatalyst_index/
    光触媒開発者の藤嶋 昭先生が館長を務められている 光触媒ミュージアム が併設されており、光触媒利用の聖地と言って良いでしょう。
    各種 JIS 対応試験など、非常に広範囲の試験が実施可能です。
    https://www.kistec.jp/sup_prod_devp/test_and_mes/koudo/0103_hikarisyokubai/0103_hikarisyokubai_index/

  • これまで困難だった光触媒での抗ウイルス効果の実証に成功 (NEDO)
    https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100154.html

  • 光触媒の新たな性能評価法に関する国際標準が発行されました(経済産業省)
    https://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180402002/20180402002.html

  • 金属銅、銀粉と光触媒及びNafion(フッ素系イオン交換樹脂)と組み合わせると驚異的な機能アップ(株式会社 ケミカル・テクノロジー、堺市の会社です)
    http://www.chemical-tech.net/photocatalyst.html

  • ミヤネ屋でも紹介しました、サンスターの QAIS-air-01 は、 UV-C と二酸化チタン系の光触媒メッシュ TMiP ユニットを組み合わせた、 ハイブリッドの空気清浄機です。
    https://www.sunstarqais.com/products/air01.html

  • シャープからも可視光応答型の光触媒が発売されました。 詳細については記載されていませんが、「波長約480nmまでの可視光にも反応」とのことです。
    https://jp.sharp/business/photocatalyst/

     

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    可視光光触媒空気清浄機 ひかりクリーナー

     

    感染リスク低減のための研究対象として開発を行っている内容を公開しています。

     

       

     

    □ 咳やくしゃみはもちろん、 しゃべるだけでも飛沫が飛びます。

    □ 普段はマスクを着けていても、食事の時や病院、歯医者などでは着けることが出来ません。

    □ レジ、窓口などでは全てのお客様が正しくマスクを着用しているとは限りません。

    □ マスクをしていても、2割の飛沫と、半分のエアロゾルは漏れている、と言う試算もあります。

     

    ひかりクリーナーは、人と人の間に飛び交う飛沫を吸い込み、光触媒の力で徐々に有害な有機物を酸化分解していく、 そんな空気清浄機を目指しています。

    *現在のところ直接新型コロナウイルスを用いた実証試験は試験機関が一杯で実施することが出来ません。

  • 光触媒は有機物を活性酸素により酸化分解するため、様々なウイルス、菌に対して効果があり対象を選ぶ事は確認されていないこと、
  • この製品がホルムアルデヒドやメチレンブルーなどの有機物を分解できること、
  • この製品が飛沫を吸い込み、またほとんど再放出が見られないこと、
  • 免疫細胞は菌やウイルスを貪食した後の攻撃に活性酸素を使っていること、

    これが分かっている全てです。

    この事実から、感染リスクを下げることが出来る可能性を検討したのが本製品です。
    もちろん、より正確な評価と性能向上のため、研究を日夜進めております。
    少なくとも、脱臭機能を持つ高性能の空気清浄機として、多くの方に満足頂いています。

    しかしながら現時点では直接的に新型コロナウイルスに対する検証は行えておらず、

    新型コロナウイルスに対して効果がある、と謳うことは出来ない

    ため、製品提供は行えない事をご理解頂ければと思います。

    また、同様の製品を使用していてもこの製品があるから大丈夫、と言う過信だけは絶対にしないで下さい。

    まず、普段の対策ありきで、それにさらに+αの対策としてのひかりクリーナーです。

     

     

    フィルターに光触媒を塗布して強い光を当て、 そこにファンの力で空気を流し込むことで空気清浄機を作ることが出来ます。 活性酸素は寿命がマイクロ秒(百万分の1秒)オーダーで一瞬で反応して消滅するため、 活性酸素がまき散らされることはありません。 (吸い込まれた有機物の全量が、一瞬で分解されるという意味ではありません)

    放射線教育用教材である ペルチェ冷却式霧箱 の開発で培った技術を流用して、 極限まで構造を簡素化した光触媒式空気清浄機が
    「ひかりクリーナー」です。

     

    極めて簡単な構造にしており、特殊な工具を必要とせずに、 ルネキャットなどの可視光応答の三酸化タングステンベースの光触媒さえ入手できれば、 中学生程度でも製作が可能です。 新型コロナウイルスに対する直接的な効果が確認された後に、 教育機関へ詳しい製法、部材の仕入れ先なども情報提供したいと考えています。

    実際に、無償提供目的の方に製法提供を行っています。

  • 山田鋳造鉄工株式会社 改良型ひかりクリーナーを10台を丸亀市に寄贈
    http://yamada-casting.jp/wp-content/themes/omega/yamada-06.php

    USB アップコンバーターケーブルを使用して PC やモバイルバッテリーに接続して、 新幹線での移動中や会議中個人個人で防衛する、など可能ですし、 レジや窓口など不特定多数と接客するブース毎に配置する、と言うのも、 小型でコストパフォーマンスの良い当製品であれば現実的かと思います。 USB 接続先は、5V 2A を供給できるポートを使用して下さい。 1A の供給力では駆動しません。

     

     

     

    定量的な実証試験はホルムアルデヒドガスなどの分解について測定を行っており、 確かな分解挙動が確認されています。
    開発当初は、下水の臭いが上がってきて吐きそうな臭いに長年苦しめられていた100平米の実験室で、 配水管にテープで封をしておけば換気無しで3時間ほどでほとんど臭いがなくなっていたことから、 効果を確信していました。 市販の小型光触媒空気清浄機では、非常に小さい光触媒と紫外線ランプを使用していますが、 大面積にして、可視光でも強度を高めることで極めて安価に実用化しました。

    ファンは大型で信頼性が高く、普通のデスクトップパソコンより静かです。 現在のモデルでは、1200rpm, 14dB のファンを使用しています。 風量がやや小さいため、現在風量の大きい物も検討しています。

    現在生産中の 30mm ネジを足に使ったモデルでは、LED から 2.5cm の距離にフィルターがあり、この位置での光の照度は 68,500 lux にも達するという計算になりました。 (以前は40mmのネジを足に使っており、LED から 2.5cm の距離にフィルターがあり、この位置での光の照度は、58,000 luxでした)
    なお、光が強すぎて、レンジの広い 40,000 lux まで測れる照度計でもレンジオーバーしたため、距離を変えて測定し、逆二乗則からフィッティング、2cm位置での強度を求めました。

    本当にこんな簡単な構造の装置で効果があるのか、 検証を行った結果がこちらです。 煙を吸い込む挙動も、動画で紹介していますので、 どの程度の範囲の飛沫を吸い込むかの参考になるのでは無いかと思います。

  • ひかりクリーナー 実証試験結果

    45L 密封コンテナ中でのホルムアルデヒド分解挙動。
    (実際の部屋での挙動とは異なります。)

    (2020/09/17)

    ひかりクリーナーが飛沫を除去する様子を可視化しました!

    空気中の微粒子を可視化する特殊動画撮影を、 カトウ光研 本社に於いて、 2020/09/15 に実施致しました。

  • COVID-19対策特設ページ 飛沫・エアロゾルの可視化とは
    http://kk-co.jp/use/aerosol.php

    静止画ではうまくお伝えできないのですが、1m 程度の範囲に於いて、 口から発声に伴って出た飛沫や、スプレーからの模擬飛沫、エアロゾルを模した電子タバコのベーパー などが吸い込まれていき、なおかつフィルターによってマスクと同じように 止められていることが確認出来るかと思います。
    発声に伴う飛沫の撮影に際しては、「ブーブー」と言う破裂音により 意図的に大量の飛沫を出しています。

     

     
    (9/24 コマ送りの飛沫の画像を重ね合わせて動きが分かるようにしました)  

     

  • ファン無し_やや遠く
  • ひかりクリーナー_飛沫_やや遠く
  • ファン無し
  • ひかりクリーナー_飛沫
  • ひかりクリーナー_飛沫_拡大
  • ひかりクリーナー_スプレー_拡大
  • ひかりクリーナー_煙
  • ひかりクリーナー_煙_拡大

    画像処理前の動画はこちら

     

    今回の撮影のうち、拡大画像と煙の画像は直線状に発信するレーザー光を用いて撮影しており (机の上に直線状の光が見えます)、 空間の中のある一面を通過する粒子を捉えた断面画像のようになっています。
    拡大した画像の撮影の際には、ファンの下側にもレーザーが回り込むように設定しており、 ファンの後ろ側の粒子では無く、ファンの直下の粒子を捉えています。
    口から及びスプレーからの飛沫が高い割合でフィルターで止められていることが確認できるかと思います。
    (わずかにこぼれ出てくる飛沫も見られることから、レーザーが当たって無くて見えていないだけ、 と言うわけでは無いことが分かります)
    さらに驚くべき事にエアロゾルについてもかなりの割合で捕集しています。 使用している不織布は肉眼で見える程度の穴が空いた構造になっており、 予想以上の効果だと考えています。

    もちろん、周囲の空間の飛沫やエアロゾルを全て吸い込むブラックホールのような装置ではありません。
    スプレーからの大きく早い飛沫にはあまり効果が無いことから、 くしゃみなどのしぶきには期待できませんが、今そう言うことをされる方は少ないかと思います。
    ファンの周辺部では巻き込みや逆に吹き上げが起こっていることも確認されており、今後改善の対象となります。
    ですが 会話をする程度の距離の人と人の間の飛沫を一定の割合で低減する ことはご理解頂けたかと思います。

     

    今回の撮影結果だけで飛沫が除去できたと言えたわけでは無く、 この内容を論文としてまとめて第三者のチェック(査読)を受けた上で、 出版を認められて初めて確認が出来たことになります。
    また、今回の飛沫のキャッチには光触媒は全く関係なく、 単なる「外付けのマスク」としての機能の確認に留まります。 今後、キャッチした飛沫に含まれているウイルスをきちんと分解、不活化できていることの確認を行って、 システム全体の検証となります。 今回は、その第一段階、と言えます。
    パーティクルカウンターも購入したため、何らかの定量的データも出したいと考えています。


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    加熱

    ウイルスの不活化を最も簡単に行う方法として、 単純に加熱する、と言う手があります。 特に脂質の膜を保つエンベロープウイルスは熱に弱く、 インフルエンザの場合で 100℃ 5分、80℃10分、56℃30分などと言う指標が出ています。 普通のドライヤーの温風を測ってみたら80℃前後でした。 10分はちょっとしんどいですが、息による湿気を飛ばす意味でも、 紫外線を当てた後にだめ押しで加熱するのは効果的だと思います。
    キューピーの報告では、鳥インフルエンザウイルスは55℃ 2分間で、 または 60℃ ではその温度に達するとすぐに不活化する、と言うデータがあります。

  • 鳥インフルエンザウイルスは60℃加熱で不活化しマヨネーズの中では30分以内に不活化
    https://www.kewpie.com/newsrelease/archive/2006/2006_047.html

    60℃ 1時間という「ウイルスを不活性化させるための標準的な方法」 では新型コロナウイルスは完全には不活化されず、 92℃ 15分間で完全に不活化した、と言うデータもありますが、 何分で不活化されるのかなどは良く分かりません。 abstract を読む限りは 10-6 まで下げる話なので、 やや長めになっているかも知れません。 安全をとって100℃ 15分程度を目安にすると良いかと思います。

  • 新型コロナウイルス新型コロナウイルスが死滅する温度が判明
    https://jp.sputniknews.com/covid-19/202004177372961/

    身近な物で、100℃程度で数分間加熱できる物、と言う事で検討しましたが、 有りました。
    オーブンです。 オーブンの予熱モードであれば、100℃前後でキープしてくれます。 (オーブントースターでも、機種によっては100℃程度に設定できると思います)
    マスクをそのままで加熱するのは、食品を取り扱う機器ですからためらわれるのと、 熱を均一に伝えるという意味から、アルミホイルで包んで、
    ホイル焼き にすると良いと思います。
    こちらの研究室にあるレンジでは、以下の様に非常に丁度良い温度でキープしてくれました。 15分程度加熱すると、問題無く不活化されるはずです。
    それぞれのご家庭の機種で試す際は、熱電対付きの温度計がアマゾンなどでとても安価で買えますので(デジタル温度計、熱電対、で検索すればたくさん出ます)、確認してみてから使う様にして下さい。

    (写真にマウスカーソルを当てると、説明文が出ます)

     

    高校までの同級生からの報告では、「鍋で煮る」と言うダイナミックな方法も報告されています。 乾かせば普通に使えたそうです。 100℃でウイルスは不活化され、煮沸消毒していますから普通に洗うだけと異なり乾かす際に雑菌は湧きにくく、以外と合理的かも知れません。 鍋は、料理用とは分けた方が良いと思いますが・・・

    色々と情報を提供して頂いた読者の椿様から、 「ジップロックのような袋、できればジッパーが二重のものにマスクをいれて空気を抜いて 普通に熱湯で煮るのはどうなんでしょう?」 と言う提案を頂きました。 夏場は汗による水分が飛ぶ分、ホイル焼きの方が快適かと思いますが、 不活化という意味では十分実用的だと思います。 温度を測らなくても良いですし、何かの間違いで温度が上がりすぎることもないですし。

    (2020/05/19 追記)
    マスクリーンのところでも紹介した本学の高橋 和先生によると、 濡らしてしまうと繊維が凝集してしまい、極端に捕集性能が落ちる、とのことです。 飛沫をまき散らさない、と言う目的程度には使えるでしょうが、 洗濯、煮沸は避けた方が無難です。 その一方で、ドライヤーでの加熱ではほとんど性能が変わらなかった、とのことです。

  • 大阪府立大学 電子物理 高橋 和 研究室
    http://www2.pe.osakafu-u.ac.jp/pe9/

    いずれにしても、加熱のしすぎにはくれぐれも注意して下さい。 ドライヤーなどで加熱する場合に 油断すると一瞬で使い捨てマスクの生地が融けます。


    本業の、核融合炉材料の熱拡散率測定でお世話になっている NETZSCH Japan さんが、 本気の装置を使って温度変化による挙動を測定した例がこちら。

  • マスクを電鍋で洗浄してみた!その@ 耐熱温度は何度?
    https://www.netzsch.co.jp/application/20200413/
  • マスクを電鍋で洗浄してみた!そのA 電鍋でマスクを加熱してみた
    https://www.netzsch.co.jp/application/20200417/
  • マスクを電鍋で洗浄してみた!そのB 電鍋の温度を調べてみた
    https://www.netzsch.co.jp/application/20200422/
  • マスクを電鍋で洗浄してみた!そのC マスクって何度くらいで縮むの?
    https://www.netzsch.co.jp/application/20200512/?mt=niGhABwMAA4

  • 遠赤外線熱風加熱によるウイルス不活化試験
    加瀬 哲男ほか、日環感, 7 (1992) 39-42. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsei1986/7/2/7_2_39/_pdf/-char/ja
    によると、エンベロープ無しのアデノウイルスは 200℃5分の処理でも細胞毒性を示したのに対し、 エンベロープを持つヘルペスウイルスは、100℃5分の処理で感染価は検出限界以下になった、とのことです。

    なお、くれぐれも、ドライヤーにマスクを乗っけたまま放置して加熱などしないで下さい。 火事になります。

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    その他(突然変異、二酸化塩素、消炎鎮痛剤)

     

    突然変異

    基本的な放射線生物学の知識が必要です。

    インフルエンザウイルスなどの 1本鎖RNA ウイルスは、一般的に突然変異しやすいと言われています。 通常の細胞は二本鎖の DNA を持ち、様々な化学的損傷に対して修復する酵素を持っています。 放射線などによって切断されてしまった場合でも、 二本鎖であることから片方を鋳型として修復が出来ますし、 二本鎖切断の場合ですらほとんどの場合で修復が可能です。 ところがウイルスは自分自身では修復の酵素などを持たず、 他の細胞内で修復されるとしても一本鎖では修復が困難です
    (簡単な化学的修飾程度は修復できるようです)。
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/41/5/41_5_318/_article/-char/ja/

    天然痘など二重鎖DNAを持つウイルスも存在しますが、こちらは損傷の修復が可能であるため 遺伝的に安定で、変異しにくいためワクチンが有効です。 突然変異は化学物質、活性酸素、放射線など様々な要因で起こりますが、 これによって様々なタイプが生まれて環境に対応していき、 ワクチンなども効きにくくなります。

    ここまで読めば分かると思いますが、インフルエンザも一本鎖RNAウイルスです。 様々なタイプがあり、異なるタイプだと予防接種が効かないのはご存じの通りです。 今回のコロナも同様で、様々なタイプが存在しており、 ごく普通の風邪の原因だったりします。

    一本鎖RNAウイルスにも2種類あり、自分が直接タンパク生成の鋳型となるか、 一旦転写してから鋳型として複製するかの違いがあります。 前者が一本鎖+RNA, 後者が一本鎖-RNAで、コロナは前者、インフルエンザは後者です。

    インフルエンザに効く薬がどのような過程を阻害するかによって、 今回のコロナウイルスにも効くかどうかが変わってくるだろうと思います。 (抗ウイルス薬なら何でも効くわけではないということです)

    (2020/03/25修正) 「コロナウイルスはRNAウイルスでは例外的に変異を起こしにくい。コロナウイルスは校正機能を有する酵素を持つので,変異が起きても,それを除去して正しく遺伝子を複製する」とのことです。 おそらく、上で挙げているメチル化など簡単な化学的修飾を除去する酵素だとは思いますが・・・ 下記のサイトは、湿度に関する考察も興味深いです。
    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス学的特徴と感染様式の考察(白木公康)
    https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14278

     

    二酸化塩素

    インフルエンザウイルスに効果ある物なら使えると思って良いのですが、 二酸化塩素は消毒薬としては我が国に於いては未認可であり、 二酸化塩素ガス自体の毒性(塩素系の呼吸器への刺激)があるため、使用には注意が必要です。 次亜塩素酸ナトリウムの2.5倍の酸化作用があり、効果自体はあるようですが、 製品によっては二酸化塩素の放出が少ない物があるようです。
    濃すぎても薄すぎてもダメなので、そのあたりのコントロールが難しい、と言えます。 効果があるかどうかについては塩素臭である程度判断できると思いますので、 ウイルスの危険性と塩素の刺激とどちらを取るか、という感じでしょうか。

  • 大幸薬品 二酸化塩素実験データライブラリー
    https://www.seirogan.co.jp/medical/data/
  • 二酸化塩素による除菌をうたった商品 −部屋等で使う据置タイプについて−
    http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20101111_1.pdf
  • Q&A 二酸化塩素による除菌等をうたった製品の使用について
    https://www.gakkohoken.jp/column/archives/74

    二酸化塩素自体の有効性は、以下のソースで確認する事が出来ます。
    「ウイルスなどに反応したときのみ最小限の二酸化塩素を生成するため、刺激や塩素臭などがなく、安全性が高いのが特徴。反応すべき菌やウイルスが存在しないときは無刺激、無毒で口にしても問題ない」と言うのが特徴で、上述の問題点を上手く解決しているようです。 空間除菌、と言う形では無くなりますが。

  • 航空機でも使用の除菌消臭剤が新型コロナに有効 大阪大研究グループ確認 https://www.sankei.com/west/news/200508/wst2005080013-n1.html

    とりあえず私が買ったこの商品は、全く塩素の臭いがしないので、効果は無いと思われます。 認可されていないため雑貨として売られており、濃度なども規制が無く、 このような粗悪商品も野放しのようです。 メーカーに二酸化塩素の放出濃度について照会をしていますが、返答有りません。
    https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=258&from=voice&id=6010864

     

    消炎鎮痛剤

    コロナウイルス感染時に、イブプロフェンなどの消炎鎮痛剤を用いることにより重症化する、 と言う話が出ています。

    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)してはいけない 5 つのポイント
    https://www.npojip.org/sokuho/200315.html

    そもそも発熱は菌やウイルスを殺すための防衛反応で、 押さえるべきでは無いというのは割と良く知られていますが、 イブプロフェンなどは炎症を抑える作用の過程で免疫力を下げてしまい、 重症化するとのことです。
    ただし、この話は専門家でも意見が分かれており、否定的な見解もあります。 より確実なエビデンスが求められますが、 アセトアミノフェンであればその作用は無いという見解は一致しており、 熱を下げすぎない様に注意した上で、 コロナに感染したかどうか分からない、普通の風邪だと思って飲むときに、 イブプロフェンを含んだ薬やロキソニンを飲むのは止めて、 アセトアミノフェンにしておいた方が無難な選択のようです。

    フランスでは厚生大臣が発表している、 というのは既に見た方も多いと思いますが一応張っておきます。
    https://news.yahoo.co.jp/byline/saorii/20200315-00167830/  

    参考

  • 日本ウイルス学会
    http://jsv.umin.jp/news/news200210.html

  • 国立保健医療科学院のリンク集
    https://h-crisis.niph.go.jp/?p=132576

  • 第二種感染症指定医療機関の指定状況
    https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou15/02-02-01.html

  • ウイルス粒子の構造と各部の機能
    http://www.med.akita-u.ac.jp/~doubutu/kansensho/virus17/kouzou.html

  • インフルエンザ _ 感染と予防
    https://pro.saraya.com/kansen-yobo/bacteria-virus/influenza.html
    アルコール手指消毒剤のインフルエンザウイルスに対する不活化効果が示されている

  • 対象微生物による消毒薬の選択
    http://www.yoshida-pharm.com/2012/text04_05_02/

  • 新型インフルエンザ知識と予防
    http://sp.nichigi.or.jp/kensyu_saiji/new-influ.html

  • インフルエンザとノロウイルス消毒用エタノールに効果があるのはどっち?
    https://www.fcg-r.co.jp/micro/micro16.html

  • 「次亜塩素酸水」活用広がる 消毒液不足、コロナへの有効性検証
    https://www.sankei.com/economy/news/200509/ecn2005090008-n1.html

  • NITEが行う新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価について〜よくあるお問い合わせ(令和2年6月4日版)〜
    https://www.nite.go.jp/information/osirasefaq20200430.html

  • くしゃみはどこまで届くか、は前提条件で変わってくる
    https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00138/051800547/?n_cid=nbpnxt_mled_dm

  • 1分間話すとウイルス含む飛沫が千個発生、8分間以上浮遊 米研究
    https://news.livedoor.com/article/detail/18362508/

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