小型飛沫除去装置 ひかりクリーナーの紹介

Presented by 大阪公立大学 大阪国際感染症研究センター 准教授 秋吉 優史

2021年4月から本学の 21世紀科学研究センター に開設される
「大阪国際感染症研究センター」スターティングメンバーとなりました。

「コロナウイルスに対する工学的対策についての考察」親ページは こちら

Last update 2022/3/31




 

このページでは、工学的な感染制御の研究対象として開発を行っているひかりクリーナーに関する学術的な内容の紹介を行っています。

 

Index

 




 

 

  • ひかりクリーナーのリーフレット(2022/03/14 版)
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    (2022/02/14)

    【暫定報告】

  • ひかりクリーナーのエアロゾルに対する効果が確認されました
  • 370 L のグローブボックス内でバクテリオファージQβ を含んだ溶液をネブライザーで噴霧して、長時間漂うエアロゾルに含まれるウイルスの除去性能評価を行いました。

    現状は暫定報告を受けたところであり正式報告書待ちでどこで試験を行ったかなど公表できませんが、 結果を整理した内容を暫定的に公開致します

    図中の「ブランク」(紺色の点)は、噴霧した後にファンで攪拌しただけの場合で、 「ひかりクリーナー使用」(紫の点)はチャンバー内を消毒後改めて噴霧し直し、ひかりクリーナー標準型(無機材質高性能フィルター使用)を作動させながら10分ごとにサンプリングした場合の結果です。 縦軸は対数プロットになっており、ひかりクリーナーの使用によりブランクよりも早く、指数関数的に減少していることが分かります。

    ブランクではスタート時に 1.6×106 PFU(Plaque Forming Unit; 感染価の単位で、今回の場合大腸菌を塗ったシャーレにファージを捲いて感染させて菌が死に穴が空くプラークがいくつ作られるか、と言う量。)であったのが 20分で 1.1×106 PFU となり、30% 程度の減少となりましたが、 ひかりクリーナーを使用することによりスタート時に 7.2×105 PFU であったのが 10分後には3.3×105 PFU、20分後には 1.8×105 PFU と、10分でおよそ半分、20分で 1/4 に減少していきました。

    もちろんまだ各条件1点しかデータを取得しておらず、より細かくデータを取得する必要がありますし(測定費用が非常に高額であったため、点数を絞る必要がありました)、 光触媒により不活化したかどうかは光触媒を塗布していないフィルターも使用して比較を行う必要があります。 しかし、ひかりクリーナーを稼働させることにより、大きな飛沫だけで無く、(フィルターでキャッチすることは出来ない)長時間空気中に滞留しているエアロゾルに含まれるウイルスを減少させることが出来たというデータは、非常に大きな意味を持つ物だと思います。 既に、エアロゾルよりも小さいホルムアルデヒド分子やアセドアルデヒド分子をひかりクリーナーにより分解するデータはたくさん取得していますが、ウイルスはこれらの有機ガス分子より遙かに大きいため、フィルター表面に接触するごく短期間で不活化することが出来るかどうかは、実際に実験してみなければ分かりませんでした

    もちろん実環境は 370L のチャンバーよりもずっと体積が大きく、 気流の影響など様々な点を考慮する必要がありますが、 エアロゾルはガスなどと異なり気流が無ければ余り遠くまで拡散しない事が知られており (たばこの煙がしばらく同じ場所に留まっている様子を想像して頂ければと思います)、 人と人の間に設置するひかりクリーナーはそれほど大きな体積を対象としていません。 たとえば机の上の直径1mの半球の体積は 262 L 程度になります。


     
    ひかりクリーナーによるエアロゾルとして漂うウイルスの除去挙動 


     




     

  • 飛沫除去の必要性について
  • 学術的には、「飛沫」とは 5μm 以上の液滴のことを指します。 実際の口腔からの液滴は、120-150μm 程度の大きな「飛沫」と、 2μm 程度の小さな「エアロゾル」に分布のピークを持ち、 飛んでくる液滴の量(含まれているウイルスの量も液滴の量に応じて多くなる)は、 前者の大きな飛沫が支配的です。

    60μm を超える大きな飛沫は通常の会話では 1m 以内で重力により沈降するとされていますが, 室内の気流などの条件によっては 100μm の飛沫でも 5m 程度まで飛散したとの報告もあります。

     

    粒径の大きな飛沫は元々の飛程が短いため,より粒径が小さく空気中に長時間滞留するエアロゾルと異なり大型の空気清浄機を部屋に設置しても余り意味はありません(エアロゾルに対しては、一般的な空気清浄機も有効だと考えられます)。また、いくら換気をしても関係ありません。屋外での飲食でも感染者が出ていることからも明らかです。人と人が対面して会話をしている程度の距離では、大きな飛沫をダイレクトにぶつけ合っていることになるのです。これを避けるために、ソーシャルディスタンスを取る、マスクをする、アクリル板や塩ビシートなどを設置する、と言った対策が取られています。

    しかしながら、これらの対策だけでは、不十分だと言えます。

    □ 咳やくしゃみはもちろん、 しゃべるだけでも飛沫が飛びます。

    □ 普段はマスクを着けていても、食事の時や病院、歯医者などでは着けることが出来ません。

    □ レジ、窓口などでは全てのお客様が正しくマスクを着用しているとは限りません。

    □ マスクをしていても、2割の飛沫と、半分のエアロゾルは漏れている、と言う試算もあります。

     




     

  • 小型飛沫除去装置というコンセプト
  • ひかりクリーナーは、人と人の間に飛び交う飛沫を吸い込み、光触媒の力で徐々に有害な有機物を酸化分解していく、そんな空気清浄機を目指しています。 そのためには卓上に設置できる小型で、静音性が高く、多数設置が可能な安価な製品が必要です。 我々は、このコンセプトの製品を、「小型飛沫除去装置」と概念付けました。 これまでに存在しなかったジャンルの製品であり、今後様々な感染症に対処するために普及を推進しています。

     

     




     

  • 学術的エビデンスについて
  • これまでの私が行ってきた研究と、世界中の研究者の研究成果により、

  • 光触媒は有機物を活性酸素により酸化分解するため、様々なウイルス、菌に対して効果があり対象を選ぶ事は確認されておらず、活性酸素は免疫細胞が菌やウイルスを貪食した後の攻撃に使われていること
     
  • 光触媒はホルムアルデヒドやメチレンブルーなどの有機物を分解でき、ひかりクリーナーに於いてもその分解性能が確認できていること
     
  • この製品が5μm以上の大きさの飛沫を高い割合で吸い込み、フィルターでしっかりとキャッチされていること
     
  • ひかりクリーナーでは 1μm 以下の大きさのエアロゾルについてはフィルターでの捕集はほとんど出来ないが、エアロゾルとして噴霧され長時間空中を漂うバクテリオファージQβウイルスを除去できていること
     
  • この製品で使用している光触媒は、JIS-R1756 に準拠した試験で新型コロナウイルスを不活化する効果が確認され(1)、学術的論文として公表されている(2)こと
     
  • さらに市販されている光触媒を使用した(本製品とは別の)空気清浄機が、噴霧した飛沫に対しても新型コロナウイルスを除去する効果を示していること(3)

    と言うところまで分かってきています

    この事実から、広く国民に普及できる形で感染リスクを下げることが出来る可能性を検討したのが本製品です。
    もちろん、より正確な評価と性能向上のため、研究を日夜進めております。
    少なくとも、脱臭機能を持つ高性能の空気清浄機として、多くの方に満足頂いています。

     

    (2021/08/27)

    日本エアロゾル学会誌 投稿論文が受理されました!

    ひかりクリーナーによる、飛沫除去性能を評価した査読付学術論文が、 2021/2/26 に投稿して以降、2度も Major Revision との判断を受けつつも、 ブラッシュアップを重ね、本日、三度目の正直で「このまま掲載」となり受理され、 完成度の高い論文として公開を行うことが出来るようになりました。

    もちろんこの論文の結果をもって全てが分かったわけではなく、 ある条件で測定した結果こうなった、というもので、 今後さらに様々な条件での測定が必要であることが、 査読のコメントを行う課程で明らかになりました。 共著になって頂いた綿野先生は大阪公立大学工学研究科長のエアロゾルの専門家で、 落合先生は KISTEC の光触媒研究の第一人者であり、 大変貴重なコメントを活かすことが出来ました。

    いずれにしろ、飛沫除去装置というこれまでになかった概念の装置について、 初めてのエビデンスが得られたことになります。 今後各方面への働きかけを行い、実際の感染症対策を行う手段の一つとして 広く周知を行っていきたいと思います。

  • 光触媒式小型空気清浄機による飛沫除去挙動の評価,
    秋吉 優史, 綿野 哲, 落合 剛, エアロゾル研究, 36 (2021) 1-10.
    (著者最終稿です。)

  • 「エアロゾル研究」編集委員会からの審査結果

    論文中で得られた飛沫除去装置の性能評価に関する成果をリーフレットにまとめました。

  • ひかりクリーナーリーフレット 2022/03/14 版

    エアロゾルの問題は 8/29 の産経新聞でも報道されている ように、 エアロゾル学会の有志により 「最新の知見に基づいたコロナ感染症対策を求める科学者の緊急声明」 として提言がなされています。

    エアロゾルによる空気感染「も」感染ルートの一つであることは WHO も2020年7月に認めており、 過去のクラスター発生事例から間違いないと思います。
    しかしながら、粒径2μmのエアロゾルと150μmの飛沫では体積が42万倍も異なり、 大量のウイルスを含む飛沫が飛び交っていては、 いくら換気が良くても近距離では飛沫感染が起こりえることの周知が重要であると考えております。 2020年7月以前のWHOの声明や、屋外での飲食に伴うクラスター発生などを考えても、 上記の声明のうちエアロゾルによる空気感染が主要なルートというのには賛同できず、 飛沫対策の重要性について強調頂きたいと思います。


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  • 法令上の広告の規制について
  • 病院や学校などに於いて実際の感染症抑制効果を確認する実証実験を計画していますが、 そこでマクロな感染抑制効果が実証されたとしても、それでも

    この製品が新型コロナウイルスに対して効果がある、と謳うことは出来ません。

    薬機法の規制により、医療機器でない製品は効能を謳えないためです。 医療機器としての登録はさらに超えなければならない様々な壁が存在します。

     

    また、新型コロナウイルスに対して効果が確認された様々な製品を使用していても、
    この製品があるから大丈夫、と言う過信だけは絶対にしないで下さい。

    まず、普段の対策ありきで、それにさらに+αの対策として活用して頂ければと思います。

     

     




     

  • ひかりクリーナーの製品紹介
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    フィルターに光触媒を塗布して強い光を当て、 そこにファンの力で空気を流し込むことで空気清浄機を作ることが出来ます。 活性酸素は寿命がマイクロ秒(百万分の1秒)オーダーで一瞬で反応して消滅するため、 活性酸素がまき散らされることはありません。 (吸い込まれた有機物の全量が、一瞬で分解されるという意味ではありません)

    放射線教育用教材である ペルチェ冷却式霧箱 の開発で培った技術を流用して、 極限まで構造を簡素化した光触媒式空気清浄機が
    「ひかりクリーナー」です。

     

    ひかりクリーナー Q&A

    (2021/12/07版) Update!

     

    極めて簡単な構造にしており、特殊な工具を必要とせずに、 ルネキャットなどの可視光応答の三酸化タングステンベースの光触媒さえ入手できれば、 中学生程度でも製作が可能です。 新型コロナウイルスに対する直接的な効果が確認された後に、 教育機関へ詳しい製法、部材の仕入れ先なども情報提供したいと考えています。

    実際に、無償提供目的の複数の方に製法提供を行っていますし、 関西大学、東北大学、十和田工業高校でも製作が行われています。

    USB アップコンバーターケーブルを使用して PC やモバイルバッテリーに接続して、 新幹線での移動中や会議中個人個人で防衛する、など可能ですし、 レジや窓口など不特定多数と接客するブース毎に配置する、と言うのも、 小型でコストパフォーマンスの良い当製品であれば現実的かと思います。 USB 接続先は、5V 2A を供給できるポートを使用して下さい。 1A の供給力では駆動しません。

     

       

     


     

  • ひかりクリーナー2020
  • フレームをスチール製とした、ひかりクリーナー2020を提供しています。

  • 天板と側面は黒い樹脂メッシュとし、正面・背面側はアルミルーバーにより漏れ光を抑えています。
  • 12cm 角と若干フットプリントが小さくなり、のぞみグリーン車の席の間の四角い窪みに、 ぴったり収まります。
  • 電源ジャックもパネル止めとなり、すっきりとした外観となっています。
  • 防振ゴムを兼ねてマグネットテープを貼っていますので、スチール什器などの壁面へ垂直に貼付けも可能です。
  • メタルフレームの一体構造ですので、USB アップコンバーターとモバイルバッテリーを利用すれば、 モバイルでの利用も可能です(24800mAh のモバイルバッテリーで5時間程度駆動可能です)。
  • 飛沫除去性能的には標準機とほぼ同等ですが、LED を6モジュールから8モジュールに増やしている分、性能向上しています。
  • 量産に成功した無機材質高性能フィルターをオプションで使用することで、飛躍的に性能が向上します。

     

       

     


     

  • ひかりクリーナー2021
  • ひかりクリーナー2020 をさらに発展させ、モバイルバッテリーを内蔵してモバイルでの利用に特化したひかりクリーナー2021を開発しています。

  • 市販のモバイルバッテリーを利用可能です。一般的なモバイルバッテリーはひかりクリーナーの本体より長いため、前後にはみ出てしまいますが、正方形でぴったり内蔵可能な製品 も販売されていますので、別途入手することで利用可能です。(付属しません)
  • 2020型よりも消費電力を落としており、モバイルで長時間駆動が可能です。(上述の 10000mAh のモバイルバッテリーで8時間以上駆動可能です)
  • デフォルトで高性能フィルターを使用しているため、消費電力を落としていても不織布の標準フィルターを使用した2020型よりも遙かに分解性能が向上しています。
  • 電源スイッチが付いているため、使用するたびにUSBケーブルを接続する必要がありません。
  • 2020型同様、防振ゴムを兼ねてマグネットテープを貼っていますので、スチール什器などの壁面へ垂直に貼付けも可能です。

     

       

     


     

  • ひかりクリーナー2022
  • 現在ひかりクリーナー2022の開発を進めており、下に示す写真と同じ仕様の 試作機を50台製造中です。 12月半ばには完成する予定ですので、先行予約を受け付けています。 既にバックオーダーを20台頂いていますので、残り30台となります。 試用して頂いて感想をフィードバックした上で、量産、商品化に移ります。

    無機材質の高性能フィルターを使用しており、LED は 2020型同様の 8灯仕様で、 これまでで最高の分解性能になっています。 本体はアルミ材に高品質塗装、天板のメッシュも穴径の大きいメタルメッシュとなります。 側面がアルミ材となっているため、漏れ光も最小限に抑えられています。 アルミフレームとファン・LEDユニットはマグネットテープで脱着可能で、 フィルターを挟み込んでいるファンと可視光 LED ユニットとはネジ4本で止められており、 ドライバー一本で簡単に外してフィルター交換を行うことが出来ます。 電源は、スイッチ付の 12V AC アダプターを添付致します。 (モバイルではなく据え置き前提です)

       

     




     

  • ひかりクリーナーの性能について
  • 定量的な実証試験はホルムアルデヒドガスなどの分解について測定を行っており、 確かな分解挙動が確認されています。
    開発当初は、下水の臭いが上がってきて吐きそうな臭いに長年苦しめられていた100平米の実験室で、 配水管にテープで封をしておけば換気無しで3時間ほどでほとんど臭いがなくなっていたことから、 効果を確信していました。 市販の小型光触媒空気清浄機では、非常に小さい光触媒と紫外線ランプを使用していますが、 大面積にして、可視光でも強度を高めることで極めて安価に実用化しました。

    ファンは大型で信頼性が高く、普通のデスクトップパソコンより静かです。 現在のモデルでは、1200rpm, 14dB のファンを使用しています。 ノイズが許容できる環境では、風量の大きなファンを使えばより高性能化が可能です。

    現在生産中の 30mm ネジを足に使ったモデルでは、LED から 2.5cm の距離にフィルターがあり、この位置での光の照度は 68,500 lux にも達するという計算になりました。 (以前は40mmのネジを足に使っており、LED から 2.5cm の距離にフィルターがあり、この位置での光の照度は、58,000 luxでした) なお、光が強すぎて、レンジの広い 40,000 lux まで測れる照度計でもレンジオーバーしたため、距離を変えて測定し、逆二乗則からフィッティング、2cm位置での強度を求めました。

    本当にこんな簡単な構造の装置で効果があるのか、 開発初期に検証を行った結果をしたのリンクにまとめました。 煙を吸い込む挙動も、動画で紹介していますので、 どの程度の範囲の飛沫を吸い込むかの参考になるのでは無いかと思います。

  • ひかりクリーナー 性能試験結果(初期の頃の検証結果)

    上のグラフは、38L アクリルデシケーター中でのホルムアルデヒド分解挙動です。 (実際の部屋での挙動とは異なります。)
    ホルムアルデヒド濃度測定はホルムアルデメーター htV-m (PPM technology 社)を使用し、真空ポンプでシリカゲルカラムを通じた乾燥空気に置換して湿度条件を一定とし、 パラホルムアルデヒドの入った瓶を湯煎することで純度の高いホルムアルデヒドガスを生成し、シリンジにとってチャンバーに注入しています。
    不織布を使用した標準機でも確実にホルムアルデヒドの分解が見られ、 さらに無機材質のメッシュに大量の可視光応答型の光触媒を塗布した高性能フィルターを使用すると、比較にならないほど高性能になっていることが分かります(高性能フィルターにはそれ以外にも様々なノウハウが投入されて高性能化を達成しています)。 また、消費電力を落とした2021型でも、標準型より遙かに高性能であることが分かります。
    図中の凡例に記されている k 値は反応速度定数で、ブランクと標準機は時間 t に対してホルムアルデヒド濃度 = a・exp(-k1×t) + b・exp(-k2×t) という二つの反応速度定数で曲線的に、 無機材質フィルターは a・exp(-k×t) という一つの反応速度定数で直線的に表されています。消費電力を落とした2021型でも標準型フィルターの22.9倍、標準機+高性能フィルターでは52.1倍の反応速度定数となっています。
    式の形の違いについては現在解析中ですが、不織布フィルターは有機物である自分自身を分解してセンサーが反応する別のガスを生成している可能性があります。

     

    (2020/09/17)

    ひかりクリーナーが飛沫を除去する様子を可視化しました!

    空気中の微粒子を可視化する特殊動画撮影を、 カトウ光研 本社に於いて、 2020/09/15 に実施致しました。

  • COVID-19対策特設ページ 飛沫・エアロゾルの可視化とは
    http://kk-co.jp/use/aerosol.php

    静止画ではうまくお伝えできないのですが、1m 程度の範囲に於いて、 口から発声に伴って出た飛沫や、スプレーからの模擬飛沫、エアロゾルを模した電子タバコのベーパー などが吸い込まれていき、なおかつフィルターによってマスクと同じように 止められていることが確認出来るかと思います。
    発声に伴う飛沫の撮影に際しては、「ブーブー」と言う破裂音により 意図的に大量の飛沫を出しています。

     

     
    (9/24 コマ送りの飛沫の画像を重ね合わせて動きが分かるようにしました)  

  • ファン無し
  • ファン無し_やや遠く
  • ひかりクリーナー_飛沫
  • ひかりクリーナー_飛沫_やや遠く
  • ひかりクリーナー_飛沫_拡大
  • ひかりクリーナー_スプレー_拡大
  • ひかりクリーナー_煙
  • ひかりクリーナー_煙_拡大

     

    今回の撮影のうち、拡大画像と煙の画像は直線状に発信するレーザー光を用いて撮影しており (机の上に直線状の光が見えます)、 空間の中のある一面を通過する粒子を捉えた断面画像のようになっています。
    拡大した画像の撮影の際には、ファンの下側にもレーザーが回り込むように設定しており、 ファンの後ろ側の粒子では無く、ファンの直下の粒子を捉えています。
    口から及びスプレーからの飛沫が高い割合でフィルターで止められていることが確認できるかと思います。
    (わずかにこぼれ出てくる飛沫も見られることから、レーザーが当たって無くて見えていないだけ、 と言うわけでは無いことが分かります)
    さらに驚くべき事にエアロゾルについてもかなりの割合で捕集しています。 使用している不織布は肉眼で見える程度の穴が空いた構造になっており、 予想以上の効果だと考えています。

    もちろん、周囲の空間の飛沫やエアロゾルを全て吸い込むブラックホールのような装置ではありません。
    スプレーからの大きく早い飛沫にはあまり効果が無いことから、 くしゃみなどのしぶきには期待できませんが、今そう言うことをされる方は少ないかと思います。
    ファンの周辺部では巻き込みや逆に吹き上げが起こっていることも確認されており、今後改善の対象となります。
    ですが 会話をする程度の距離の人と人の間の飛沫を一定の割合で低減する ことはご理解頂けたかと思います。

     

    今回の撮影結果だけで飛沫が除去できたと言えたわけでは無く、 この内容を論文としてまとめて第三者のチェック(査読)を受けた上で、 出版を認められて初めて確認が出来たことになります。
    また、今回の飛沫のキャッチには光触媒は全く関係なく、 単なる「外付けのマスク」としての機能の確認に留まります。 今後、キャッチした飛沫に含まれているウイルスをきちんと分解、不活化できていることの確認を行って、 システム全体の検証となります。 今回は、その第一段階、と言えます。
    パーティクルカウンターも購入したため、何らかの定量的データも出したいと考えています。


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    (2020/12/26)

    人と人の間に設置して飛沫を防ぐコンセプトで開発を進めている ひかりクリーナーですが、 特殊動画撮影での吸い込みの様子の可視化に加えて、 パーティクルカウンター(AeroTrack 9303) を用いたフィルター性能の定量的評価を行いました。
    測定は、2分間の測定を10回、フィルターの上流側、下流側 12cm の位置で、 それぞれ測定しました。


    測定用のダクト側面

    ファン、フィルター上流側にパーティクルカウンターのプローブを設置した様子

    クリーンベンチ内で、超音波加湿器を使用してフィルター性能をテストしている様子


    パーティクルカウンターによるフィルター性能の測定結果。

    HEPAフィルターを使用したクリーンベンチ内では、 5μm以上の粒子はほぼゼロとなっていましたが、 ダクトを使用して吸気を行った結果、上部に設置した HEPA フィルターの気流を 側面に流す隙間から外気を吸い込んでしまい、かなり粒子数が多い状態となりました。 このため、「目張り無しクリーンベンチ内」の測定結果は、 大気中に漂う一般的な埃に対するフィルター性能という事になります。
    周囲を目張りし、ダクト下流側のみ解放すると、かなりクリーンな環境となりました。 (「目張りしたクリーンベンチ内」) この状態で、ダクト上流側に超音波加湿器を設置して噴霧させました。 水を噴霧することで口から飛び出す飛沫、エアロゾルを模擬しています。 1回目は斜め及び上方に設置されたデュアルノズル両方から、 2,3回目は斜めに設置されたノズルのみを使用しています。
    フィルターは一般的な拭き取り用の不織布一枚で、 余り高い性能は期待していませんでしたが、 5μm以上の飛沫はほぼ完全にキャッチできている ことが明らかになりました。 その一方で1μm以下の粒子はほとんどキャッチできておらず、 素通りに近いことも明らかになりました。 (空気中の埃などは、形状の違いからか1μm以下の粒子もそれなりにキャッチされていますが、 今回問題となっているのは液滴ですので、今回の測定結果がより近い結果と言えます)
    一般的に、5μm以下の粒子をエアロゾルと呼んでいますが、 比較的大きな1〜5μmの粒子は半分程度キャッチできる物の、 完全ではありません。
    ただし、光触媒はさらに小さい有機ガスの気体分子(1nm以下)をも分解していますので、 素通りというわけでは無く、中に含まれているウイルスに影響を与えていると考えられます。 この点については今後も継続して検証を行っていきます。


     

    (2021/12/03)

    既に論文が受理されていますので、パーティクルカウンターを用いて空間中を飛散する飛沫の除去性能評価結果を公開致します。

    風速0.6m/s程度のクリーンベンチ内に設置した噴霧器からの水道水の液滴を、下流側に設置したパーティクルカウンターで測定しました。噴霧器と測定器の直線上にひかりクリーナーを設置して、使用の有無でどの程度液滴が減少するかを評価しました。液滴は斜めに噴射され、40cm程度の高さで水平に飛行しています。

    噴霧器からの距離50cm 及び 70cm の位置にパーティクルカウンターを設置し、粒子数の高さ依存性を評価しています。 いずれの距離でも、5.0〜25μmの粒径の大きな「飛沫」は、飛沫除去装置の作動によって着席時の顔の高さである40cm程度の高さでは大幅に減少することが確認できました。 0.3〜1.0μmのエアロゾルは測定可能な粒子数を超えており評価できていませんが、別途粒子数を落とした測定でも減少は見られませんでした。その間の1.0〜5.0μmのエアロゾルについては1桁程度の減少が見られました。

    この結果と、フィルターの透過性能試験結果と併せて、ひかりクリーナーによりエアロゾルの除去は出来ないが、大きく大量のウイルスを含んでいる可能性のある「飛沫」については効果的に除去が可能であると言うことが出来ます。

    エアロゾルの除去は出来ませんが、その中に含まれているウイルスの不活化は期待できるため、 KISTEC の抗菌・抗ウイルス性能評価サービスに依頼して、チャンバー内に噴霧したウイルスの除去性能評価を実施しています(2022/02/14 公開)。


    パーティクルカウンターによる飛沫除去性能試験レイアウト。

     






     

    問い合わせ:e-mail: akiyoshi-masafumi@omu.ac.jp
    もしくは supackey@gmail.com

    (@は全角となっていますので、半角に置き換えて下さい)

    電話でのお問い合わせは業務に大きな支障が出ますので、
    くれぐれもお控え頂ける様お願い致します。

    コロナウイルスに対する工学的対策についての考察
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